東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は304円安の1万9084円と反落しました。TOPIXやJPX日経400、東証2部指数、マザーズ指数なども総じて下落しました。中でも東証2部指数は3.6%安と大きく下落しました。180円程度の配当落ちや米国株安を受けて、日経平均は505円安の1万8884円と反落して寄り付きました。10時過ぎに811円安まで下げ幅を広げて安値をつけた日経平均は、その後やや持ち直して626円安の1万8762円で前場を終えました。後場に入り一時下げ幅を広げる場面も見られた日経平均でしたが、14時前頃から急速に持ち直すと304円安の1万9084円で取引を終えて高値引けとなりました。東証1部の売買代金は3兆1480億円でした。

東証33業種は電気・ガス業や食料品、医薬品などの6業種が上昇した一方で、空運業や銀行業、保険業などの27業種が下落しました。

2.個別銘柄等

東証1部の売買代金上位銘柄は下落した銘柄が多くなりました。売買代金トップのソフトバンクグループ(9984)が5%下落したほか、トヨタ自動車(7203)やソニー(6758)、ファーストリテイリング(9983)、東京エレクトロン(8035)、三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306)、KDDI(9433)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が下落しました。中でもソフトバンクグループは、出資先の英通信衛星企業ワンウェブ社が経営破綻したことが報じられたことを受けて、投資事業の先行きが懸念されて売られました。一方で任天堂(7974)や富士フイルムホールディングス(4901)は上昇しました。富士フイルムホールディングスはグループ会社が開発するインフルエンザ薬「アビガン」について、安倍総理大臣が28日夜の記者会見で新型コロナウイルスの治療薬として承認手続きの開始を発表したことが好感されて6%上昇しました。

その他材料が出たところでは航空関連株の一角が下落しており、ANAホールディングス(9202)が10%安となったほかJAL(9201)が2.9%安となっています。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、政府が米国や中国、韓国の全土からの外国人の入国を拒否する調整に入ったとの報道を受けて航空需要の一段の減少が懸念されています。

VIEW POINT: 明日への視点

一時800円超まで売られた日経平均でしたが、終値は304円安と安値から500円ほど値を戻しました。今週も引き続きボラティリティの高い展開が予想されます。また、世界的な感染拡大が続き日本でも緊急事態宣言が行われる可能性があるなか、なかなか本格的な反発は難しいと思われ引き続き下方向への警戒感を持っておくべき局面と考えます。今週はISM景況指数や米雇用統計、日銀短観など各国で重要経済指標の発表が行われます。コロナウイルスの感染拡大後に調査が行われた経済指標は大幅悪化を免れないとみられますが、既に一定は織り込まれている中でマーケットの反応が注目されます。

(マネックス証券 マーケット・アナリスト 益嶋 裕)