3月後半の中国株は急落も、一旦の底打ちのチャート形状に
3月後半の中国株は急落となりましたが、チャート的には一旦の底打ちの様相もみせています。香港ハンセン指数の動きを見ると、3月19日(木)に大幅続落となり、安値を付けました。
しかし、この日のローソク足は長い下ひげを見せており、安値から3%超も上昇して引け、反発の芽が生まれていました。メインボード売買代金も2020年で1番となる1,911億ドルを記録し、安値圏で売り買いが交錯したことを示しています。
その後、一旦急反発したのち、3月23日(月)には再び4%を超える大幅下落となりました。しかし、この日の下げでは3月19日(木)につけた安値は下回りませんでした。そして、翌24日(火)に5%近い特大の大幅上昇となり、続く25日(水)も連続して大きく窓をあけて寄り付くと、さらに出来高を増して高値引けの大幅続伸となりました。
大きく下落した後に反発し、その後の下げで直近の安値を下回らずに、再度出来高を増して直近の高値を上抜けるこの株価の流れは、チャート的には一旦の底打ちと取れます。週足でハンセン指数をみても、強烈な出来高を伴って2週は長い下ひげをつけて下げ渋り、その後に大陽線が出現しています。
全体感としては、(中国当局の情報によれば)中国では新型肺炎の感染拡大が既にピークを打っており、一方で、金融緩和や景気を立て直すための積極的な財政政策も打ち出されています。
このため、中国国内に関しては回復に向かっていくと見て良いタイミングとも思いますが、世界的な新型肺炎の感染拡大は止まっていません。そのため、そのことが世界経済全体の減速につながり、ひいては中国にも影響してくることが懸念されている様相です。
もっとも、一旦底を打つチャート形状とはなったものの、ここまでの暴落が起こった場合、回復までには世界的な資金回復が必要であり、それには日柄調整が必要であろうことが考えられます。したがって、株価が今後上昇したとしても、いずれ2番底を試しに行く展開になるのではないかと思われます。
予想を超える経済指標の悪化でしばらくは軟調な株価推移が続く見込み
3月16日(月)には中国の1~2月小売売上高が発表されましたが、前年同期比20.5%減となりました。小売売上高は金融危機の時にもプラスを維持し、過去一度もマイナスとなったことはなく、直近でも10%近い増加が続いていました。
新型コロナウイルスの影響によって市場予想では4%減のマイナス予想でしたが、結果は20.5%減という予想と比較しても激甚な悪化となりました。自動車、家具、家電などが軒並み30%超の減少となったほか、生産面でも携帯電話やパソコンが30%以上落ち込みました。
同様に3%のマイナスが予想された鉱工業生産も13.5%減、2%の減少が予想されていた固定資産投資も24.5%減といずれも予想をはるかに超える悪い結果となり、初のマイナスを記録しました。3月27日(金)に発表された1~2月の工業利益も38.3%減と過去にない数字となっています。
2月から、カジノや中国本土の輸送・運輸状況を示す一部データでは70%減や80%減という数字が出てきていました。人の活動が完全にストップしている様子からこのような結果はある意味、自然な成り行きとも言えるでしょう。しかもこれは春節の影響で1~2月分をまとめた数字です。
1月はほとんど新型コロナウイルスによる経済への影響はなかったので、もし2月単月で統計を取れば、恐らく50%超の減少になっているのではないかと思います。おそらく今後も、相当悪い経済指標や企業業績が出てくるものと思います。
問題はこれを見て株価がどう反応するかです。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着きだしていけば、悪い経済指標が出ても過去の済んだこととして出尽くしになって、株価は大きく上昇するでしょう。反対に世界的な感染拡大収束の目処が立たなければ、もう一段株価は下がることになる可能性も大きいわけです。
今回は新型コロナウイルスの感染次第でどちらに振れてもおかしくない状況ですから事前の予想は難しいところです。ただ、長期的な視点に立てば、いずれにしても株価が下がったところは優良株に投資するチャンスになります。ですので、粘り強く、じっくりとした姿勢でチャンスを狙っていきたいところです。