NYSE社長、SEC委員長「機能し続ける」
新型コロナウイルスへの懸念で米経済が減速し、全米でビジネスが止まる中、株式市場は暴落している。しかし、ニューヨーク証券取引所(NYSE)のステイシー・カニンガム社長らによると、NYSEの閉鎖はない。同社長は16日午後、「市場がオープンし続けること、公正かつ規律をもって機能することが大切だ」とツイートした。
新型ウイルスの世界的大流行による高ボラティリティを理由に米国市場が閉鎖されるとの観測に対しては、米証券取引委員会(SEC)のクレイトン委員長も同日、CNBCで「市場はこのような時でも機能し続けるべきだ」と語っている。
先週末13日にはムニューシン財務長官が「市場をオープンしておきたい。これは人々に自信を示すものだ」と語った。
それでは、市場はどうしたら閉鎖されるのだろうか。NYSEにコメントを求めたが、回答なし。金融業規制機構(FINRA)はSECに回し、SECはクレイトン委員長の同様のコメントを出した。
過去の例を見ると、トレーディングが可能な間は、市場はオープンし続ける。NYSEのリストによると、最も典型的なのは天候や休日が理由の閉鎖だ。
ドットコム・バブル崩壊、金融危機でも閉鎖されず
まれにだが、異常気象などで1日超市場が閉鎖されたことがあった。2012年にはハリケーン「サンディー」後に2日間、2001年9月11日から14日まではニューヨークなどでの同時多発テロで閉鎖された。それ以前には、1977年のニューヨーク大停電で1日閉鎖、また1968年には「ペーパーワーク危機」で、数カ月にわたり取引が週4日に短縮された。1914年7月31日から11月27日までは第一次世界大戦勃発で閉鎖された。
キャピタル・エコノミクスの主任市場エコノミスト、ジョン・ヒギンズ氏はレポートで、歴史的にみて米国市場が閉鎖される理由は「信頼回復を試みる方法としてではなく」、現実的なものだけだったと指摘。「例えば、ドットコム・バブル崩壊後とか金融危機の際に株式取引所は閉鎖されなかった」と述べた。
米国や世界の株式市場を取り巻く状況は極めて異常であり、歴史ではいつ相場が下げ止まるかを予想するのは難しいかもしれない。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、NYSEはフロア取引を停止しなくてはならなくなった時に備え、バックアップの電子トレーディング・システムを使う緊急対応策を準備しており、NYSEに閉鎖する理由が生じる兆しはほとんどない。
原文 By Shaina Mishkin
(Source: Dow Jones)
翻訳 時事通信社
Published by Jiji Press in association with Barron's Group
当記事は、バロンズ・ダイジェストで2020/03/16に公開された記事を1営業日遅れで掲載しています。