1950年以来46回
ダウ工業株30種平均は週明け23日、新型コロナウイルスへの懸念から再び下落し、50日移動が200日移動平均を下回り、昨年3月以来、初めてデスクロス(デッドクロス)を形成した。テクニカルアナリストの目には、短期のモメンタムが悪化し、相場が長期的下降トレンド入りを示すものとして、重要だ。しかし、(過去を見ると、デスクロス後)必ずしも、大きく下げたわけではない。
デスクロスはそれほど珍しくはない。23日を除くと、NYダウのデスクロスは2010年以来5回あった。2000年以降は17回、1980年からは27回、そして1950年以来だと46回だ。NYダウが弱気相場に入ったのは1950年以来11回だった。
デスクロス後に、常に大きく下げてはいない。1950年以来、デスクロスから1カ月後に下げていたケースは52%に過ぎず、下落率の中央値は0.9%だった。3か月後にNYダウがプラスになっていたケースは59%で、上昇率の中央値は1.8%。1年後はプラスが67%で、上昇率は6%近くだった。
金融危機下にあった2008~2009年より後のデスクロス形成の際に弱気相場に陥ったことはなく、NYダウはいずれの時も30営業日以内に底入れした。デスクロスから底までは平均5%の下げだった。また、大抵、デスクロスから底までの幅は、下げる前の高値からの幅よりかなり狭いようだ。
底入れまで最短2日、2008年は14カ月
底入れまでの最速のケースは、2018年12月20日にデスクロスを形成した後、2日で底を打った時で、下落率は6.6%だった。最も穏やかだったのは2016年1月13日にデスクロス、その後4週間で底に達したケースで、下落率は3%にとどまった。
もちろん、デスクロス後に急落したケースも幾つかあった。過去3カ月間に7.8%下げた後、2008年1月3日にデスクロスを形成。その後も下げ続け、半値になった14か月後にようやく底打ちした。
データが示すのは、デスクロスが相場下落を示す最も早期のサインとなることはほとんどなく、多くの場合、しばらく相場後退が続いていることを確認するものだ。つまりは、売り時を示す重大なシグナルではないということだ。
NYダウ、既に35%下げ
今回、NYダウはデスクロス形成前に、既に35%下げている。
デスクロスは相場の底入れを示す重大なシグナルでもない。過去を見ると、デスクロス後に株価は大抵下げ続けるが、底入れまでの時間や最終的な下落率はケースごとに大きく異なっている。
メッセージは、買い時を示す重大なシグナルでもないということだ。
それでもデスクロスは、少なくとも短期的には一段の下げが見込まれるシグナルを発し、投資家に広い視野で急落をとらえるよう促している。
原文 By Evie Liu
(Source: Dow Jones)
翻訳 時事通信社
Published by Jiji Press in association with Barron's Group
当記事は、バロンズ・ダイジェストで2020/03/24に公開された記事を1営業日遅れで掲載しています。