【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 21,200.62 ▼2,352.60 (3/12)
NASDAQ: 7,201.80 ▼750.25 (3/12)
1.概況
米国市場はトランプ米大統領が新型コロナウイルス対策として英国を除く欧州からの30日間の渡航禁止措置を発表したことで世界的な景気後退への警戒感が高まり急落しました。
1,368ドル安と大きく下落してスタートしたダウ平均は取引開始直後にサーキットブレーカー(取引停止措置)が発動され取引が一時中断されましたが、取引再開後も下げ幅を広げると昼過ぎには2,250ドル安程度まで下落しました。その後FRBが短期金融市場への資金供給の拡大と毎月購入している米国債を短期国債から長期国債などへ広げると発表すると一旦700ドル安程度まで持ち直す場面もみられました。しかし、買い戻しが一巡すると再び下げ幅を広げ引け間際には2,398ドル安まで売られました。結局ダウ平均は2,352ドル安の21,200ドルで取引を終え、下げ幅は9日の2,013ドルを超えて過去最大となっています。また、下落率は10%となり87年10月19日のブラックマンデー(22.6%安)以来の大きさとなりました。
さらにハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も750ポイント安の7,201ポイントとなっています。
2.経済指標等
先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比4000件減の21万1000件となり悪化を見込んでいた市場予想に反して改善しました。また、2月の米卸売物価指数(PPI)は前月比0.6%低下し市場予想を下回りました。なお欧州中央銀行(ECB)は政策理事会で新型コロナウイルスの感染拡大による経済への悪影響に対応するため、量的緩和策を年末まで1200億ユーロ拡大すると発表しました。政策金利は据え置いています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでもエネルギーが12%を超える下落となったほか、金融と資本財・サービス、公益事業も10%以上下げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄全てが下げました。そのなかでもボーイング(BA)が投資判断と目標株価の引き下げを受けて18%余り下落したほか、ダウ(DOW)も15%以上下げました。さらにウォルト・ディズニー(DIS)とIBM(IBM)、アメリカン・エキスプレス(AXP)、ゴールドマンサックス(GS)も12%を超える下落となったうえ、インテル(INTC)とナイキ(NKE)、エクソンモービル(XOM)も11%を上回る下げとなっています。ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)とホームデポ(HD)、シスコシステムズ(CSCO)も10%以上下落しています。ダウ平均構成銘柄以外では、電気自動車のテスラ(TSLA)が目標株価の引き下げを受けて11%を超える下落となりました。ユナイテッド航空ホールディングス(UAL)も英国を除く欧州からの30日間の渡航禁止措置を受けて25%近く下げています。デルタ航空(DAL)も21%近く下落しました。
5.為替・金利等
長期金利は0.05%低い0.82%となりました。ドル円は104円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国市場の急落を受けて大きく下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は下げ幅を大きく広げ下値模索の展開となりそうで、節目の17,000円を維持できるかがポイントとなりそうです。また、本日は3ヵ月に一度のメジャーSQです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)