【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 23,553.22  ▼1,464.94 (3/11)
NASDAQ: 7,952.05  ▼392.20 (3/11)

1.概況

米国市場は米政府が議会に要請した経済対策について実現時期や効果に懐疑的な見方が広がったことや、世界保健機関(WHO)が新型コロナについてパンデミック(世界的な大流行)に相当すると表明したことなどから急反落となりました。ダウ平均は413ドル安でスタートすると一日を通して下げ幅を大きく広げる展開となり取引終盤には1,689ドル安まで売られました。その後ダウ平均は引けにかけてやや持ち直したものの結局1,464ドル安の23,553ドルで取引を終えています。下げ幅は9日の2,013ドルに次ぐ過去2番目の大きさとなり、ダウ平均の2月12日に付けた過去最高値(29,551ドル)からの下落率は20.3%となり弱気相場入りの目安となる20%を超えました。
また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も392ポイント安の7,952ポイントとなっています。

2.経済指標等

2月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.3%上昇し市場予想を上回りました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数も前年同月比2.4%上昇し市場予想を上回っています。また、2月の米財政収支の赤字額は前年同月比0.6%増の2353億3500万ドルとなりました。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでも資本財・サービスが6%近く下落したほか、金融とエネルギー、不動産、一般消費財・サービス、公益事業も5%を超える下げとなっています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄は30銘柄全てが下げました。そのなかでもボーイング(BA)が融資枠を早ければ13日にも全額利用する見通しとなったと明らかにしたことで資金繰り悪化への懸念が広がり18%余り下落したほか、ダウ(DOW)も11%近く下げています。また、ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)も10%近く下落したうえ、アメリカン・エキスプレス(AXP)とシスコシステムズ(CSCO)、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)も7%を超える下落となっています。
ダウ平均構成銘柄以外では、ホテル大手のヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス(HLT)が新型コロナウイルスの影響で1-3月期と通期の利益予想を取り消すと発表したことで急落し10%安となりました。一方でバイオ製薬大手のギリアド・サイエンシズ(GILD)が2%近く上げました。新型コロナウイルスによる肺炎を発症した患者の一部にギリアド・サイエンシズが開発中の抗ウイルス薬が使われていると伝わったことで買われました。

5.為替・金利等

長期金利は0.06%高い0.87%となりました。ドル円は104円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国市場が急落したことから下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が引けで2018年12月25日に付けた安値(19,155円)を維持できるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)