下げ止まりの目途を割り込んで窓があく

日経平均は、先週3月4日(水)から今週9日(月)にかけて、驚くようなスピードで下落してしまいました。また、そのなかで新たな窓が発生しましたが、これまで解説してきたことが実際の値動きに表れていますので、見てみたいと思います。

それではいつものように日足チャートで確認してみましょう。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※赤い丸=埋まっていない窓、青い丸=埋まった窓

前回は、「3月3日の時点で株価はフィボナッチ・リトレイスメントの76.4%押しの水準まで下落しています。この水準を終値で割り込むようなことになりますと、2019年8月26日から9月5日にかけてあけた3つの窓を埋めることも視野に入りそうです」としました。

実際には、3月4日、5日と76.4%押しの水準を終値で維持していましたが、6日に76.4%押しの水準を終値で割り込むと、長い陰線が発生し、その翌営業日の9日にも窓をあけて下落が続く展開となりました。

また、3月6日と9日のあいだにあけた窓の水準を見ますと、その後になぜ株価の下落が加速したのかが分かります。それは、過去のこのコラムを読み返していただくと分かりますが、チャート上に示した「下げ止まりの目途」を下回って始まっているからです。

また、こうした価格水準は、いわゆる「節目(ふしめ)」と呼ばれます。長い期間下げ止まっていた水準を割り込んだために、その水準で下げ止まりを期待していた投資家や、その水準が損益分岐となる投資家などからまとまった売りが出て、下落が加速したと考えられます。

ついに2019年1月に発生した窓を埋める

こうした状況から、節目を一気に突破したこの窓はランナウェイギャップ(=逃げる窓)だったのではないかと考えられます。ランナウェイギャップと考えるもう1つの理由となる売買高をご覧ください。この売買高を見ると分かるように、この2日間で大きく膨らんでいます。

このように売買高が膨らむ場面では、とても激しい売買が繰り返されていたと同時に、その売買のなかには、損失の拡大を嫌気した売りや、新規の売り注文が出ていたのではないかと考えられ、こうした売買高の増加(特に売り注文の増加)が株価を押し下げ、値幅を伴う下落につながったと思われます。

そしてランナウェイギャップが発生した後、ついに、2019年1月にあけた窓も埋める結果となりました。2019年1月からの上昇分がすべて帳消しとなり、いわばリセットされた格好になっているのが分かります。

まだ埋めていない2017年4月の窓が2つある

このように過去に発生した窓のほとんどを埋めたことになりますと、株価はさらに下落すのか、あるいは反発に向かうのかが注目されるところです。仮に、直近から2018年12月までさかのぼった期間の窓を埋めたと考えた場合、窓埋めが完了したことになり、株価の底入れからの反発が期待されるところです。

一方で、さらに下落が続いた場合はどうなるのでしょうか。その場合、さらに過去にさかのぼって埋めていない窓が残っているのかどうかが注目されますが、実際に調べてみますと、2017年4月に窓が2つ空いているのを発見しました。

もちろんそこまで下落が続くかどうかはわかりませんが、次回この2つの窓について解説したいと思いますので、みなさんも自分で探してみてください。

では次回をお楽しみに。