G7声明のキーワード「更なる行動」
G7は3日、「新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大とその市場や経済状況に与える影響を緊密に監視している」とした緊急声明を発表した。この内容は、過去のG7声明の中では、あえていえば2001年9月11日、米同時多発テロ事件後に出されたものに近いかもしれない。
特に似ているのは「結び」の一文。今回出された声明では、「G7財務大臣・中央銀行総裁は、適時かつ効果的な施策について、更なる協力を行う用意ができている」。これに対して、2001年9月13日に出された声明では、「我々は経済動向と金融市場を注意深く監視し、必要に応じて更なる行動をとる用意がある」となっていた。共通のキーワードは「更なる行動へのコミット」だ。
では、なぜ同時多発テロ事件後のG7は、「更なる行動にもコミット」したのか。それは、「我々はこの悲劇が世界経済の混乱によって更に悪化しないことを確保することをコミットする」(G7声明より)ということだっただろう。
この未曽有のテロ事件が、世界経済を更にどれだけ悪化させるかは読み切れないが、悪化しないことを確保するために、必要なら「更なる行動を行う」ということだろう。この点は、「新型コロナウイルスが世界経済の成長に与える潜在的な影響」(G7声明)、それは読み切れないものだが、「強固で持続可能な成長を実現するために、また、下方リスクから守るために」(同)必要なら「更なる行動を行う」ということで、今回も比較的似ているのではないか。
さて、そんな2001年9月のG7声明を前後し、NYダウは約15%の下落で一段落した。今回は、すでにNYダウの下落率は15%程度に達している。その意味では、G7のコミット、「更なる行動」を見極めながら、株安も徐々に落ち着きを取り戻す可能性はあるのではないか。