東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は201円高の2万1344円と6日ぶりに反発しました。TOPIXやJPX日経400、東証2部指数なども上昇したほか、先週末に大きく下落したマザーズ指数は5.8%上昇しました。
米国株安や円高進行を受けて、日経平均は293円安の2万849円と続落して寄り付きました。9時半前に308円安まで下落した日経平均でしたが、日本銀行が市場の安定に向け潤沢な資金供給を行うとの黒田総裁の談話を発表すると、その後は下げ幅を縮めて10時半頃にプラスに転じました。234円高の2万1377円で前場を終えた日経平均は後場に入ると一時450円高まで上昇して高値をつけました。その後じりじりと上げ幅を縮めた日経平均は、結局201円高の2万1344円で取引を終えました。東証1部の売買代金は3兆5219億円と5日連続で3兆円を上回りました。
東証33業種はサービス業や水産・農林業、小売業などの26業種が上昇した一方で、保険業や電気・ガス業、鉄鋼などの7業種が下落しました。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金上位銘柄は上昇した銘柄が多くなりました。売買代金トップのソフトバンクグループ(9984)が0.5%上昇したほか、任天堂(7974)やソニー(6758)、トヨタ自動車(7203)、東京エレクトロン(8035)、オリエンタルランド(4661)が上昇しました。一方で三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306)やKDDI(9433)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)は下落しました。
材料が出たところでは、モバイルオンラインゲーム開発のgumi(3903)がストップ高水準となる16.8%高で取引を終えています。前月28日に2019年5月~2020年1月期の業績予想の上方修正を発表しており、中でも経常利益が前回発表予想と比べて116%増加する見通しとなったことなどが好感されました。また、学習塾を運営する進学会ホールディングス(9760)は本日お昼に発表した1億6000万円を上限とする自社株買いが好感されたほか、全国の休校となった小中学校の生徒に対するオンライン学習教材の無償提供を発表したことを受けて、将来的な商機拡大を期待した買いが入り9.2%上昇しました。
新興市場では、宿泊予約サイトなどを運営する手間いらず(2477)が7.7%上昇しました。前月28日に東京証券取引所が同社の市場区分を3月18日付で1部か2部に変更すると発表したことを受けて、指数算出対象に組み入れられた場合の資金流入などを期待した買いが入りました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日本市場は黒田総裁の談話発表を受け反発しました。昨日の当欄で記した通り、日経平均の25日移動平均線乖離率が昨日時点でマイナス9%となるなどテクニカル的に売られすぎていたことも買い戻しを誘いやすかったとみられます。ただ一旦は反発した日本市場ですが、大底をつけたかどうかはまだまだ不透明な状況です。足元のような大幅下落に見舞われると一旦反発してもその後2番底を探りにいく展開となることもありますし、今回の新型肺炎の感染拡大についてはまだ最終的な影響の大きさが見えていないため、一段の株安には一層警戒しておきたいところです。
(マネックス証券 マーケット・アナリスト 益嶋 裕)