好調スタートの過去7回、いずれも高く終わる 

米国株式市場は、グレートな2019年に続き、2020年は良いスタートを切った。バレンタインデーの先週14日までのS&P500指数の年初来の上昇率は5%近くと、過去40年強の(平均)約2%を上回るパフォーマンスだ。

ただ、幾つか懸念がある。一つは株価が若干高いこと。S&P500指数の、株価と前期利益を対比した株価収益率(PER)は約21倍に達しており、過去の平均を20%上回っている。

投資家は現在の株の状況をどう考えるのか?好スタートを切り、バリュエーションが高水準に達しているため、株価が停滞、大幅下落、それとも上げ続ける?歴史は繰り返さないが、過去を振り返れば、投資家は将来についての自信を若干強めることができる。

2020年とほぼ同様の上げでスタートしたのは過去40年間に大体7回あった。その7年はいずれも、株高で終わった。さらに、バレンタインデーから年末までの上昇率は(平均で)15%弱だった。これには勇気付けられる。

単純に計算すると2020年の米国株式のリターンは20%になる可能性があるということだ。

高PER、気にすることない

しかし、バリュエーションはどうだろう。投資家は平均を上回るバリュエーションを気にすることがないことが判明した。1998年、2017年はいずれもバリュエーションはPER20倍超だった。1998年は年初からバレンタインデーまで株価は約5%上伸。さらに22%上げて年を終了した。2017年も最初は約5%高。さらに15%上げて越年した。

すべてポジティブに聞こえるが、ベテランの投資家はこの種の分析は結果が保証されていないことを知っている。どんな年でも固有の多種多様なリスクがある。例えば2020年は、大統領選挙の年であり、新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかかっていない。既に中国では1600人超が犠牲になった。

多くのリスクがある。ただ、過去の市場について好ましいことを知っていれば、(リスクを)少し余計に許容できることも多い。

ダウ工業株30種平均のパフォーマンスはS&P500指数ほど良くない。年初来3%近くの上昇だが、問題は算定方式にある。NYダウは単純平均株価方式で算出される。株価が高い銘柄の比重が高くなる。株価が345ドル近辺にあるボーイング<BA>のNYダウにおける比重は、326ドル付近のアップル<AAPL>より若干高いということだ。もちろん、アップルの時価総額は約1兆4000億ドルと、ボーイングの約1920億ドルを上回る。一方でS&P500指数は時価総額加重方式で、例えば、アップルとマイクロソフト<MSFT>が同指数の約9%を占める。年初来の上昇率はそれぞれ11%、18%だ。

なぜ算定方式が違うのか。指数化するのにパーフェクトなやり方がないためだ。これらの算定方式はかなり昔に決められた。

 

原文    By Al Root
(Source: Dow Jones)
翻訳    時事通信社
Published by Jiji Press in association with Barron's Group