貯蓄に回すお金を先に確保することが、資産作りの大きな一歩

前回は、趣味のオタク活動に生きたい20代女子である藤川さんに「積極的に貯蓄するお金」作りを提案しました。

簡単に繰り返すと、収入から漫然とお金を使い、余ったら貯蓄というのではなく、月々どのくらいの支出があるのかを把握し(無駄遣い等の発見による家計のスリム化は必須)、貯蓄に回すお金を先に確保するというもの。これだけでも今後の資産作りの大きな第一歩になります。

単純に月々の金額×12、ボーナスからも貯蓄に回せるお金を確保できれば1年で作り出せる資産金額が決まりますよね。数年後にはどのくらいの資産になるでしょう?

趣味であるオタク活動にお金を使い、無計画に余ったお金が貯蓄となっている20代会社員女性。頭の片隅に将来の夢はあるが、それに向けてお金の準備をするなどの意識は現在なし。お金に不自由はしていないつもりだけど、このままで大丈夫?

【プロフィール】
名前:藤川美咲(仮名、25歳・未婚・一人暮らし)
職業:会社員(年収400万円) 
貯蓄:50万円(普通預金)
趣味:刀剣乱舞 おっかけ

【現在の状況】
・グッズ購入、ツアー全公演参加のためにどれだけ支出したか把握していない、したくない
・いつでも引っ越しができる貯金はキープできているつもり。でも積立などはしていない、自動的にお金が増えないかな
・SNSで趣味仲間とつながる、グッズ交換などはメルカリを活用。たまに高額チケットも買う
・本当はインテリアの資格を取って海外で仕事がしてみたい。でも今の趣味活動を減らすなんて考えたくない
・リアルな恋愛はない、結婚も想像つかない

【情報収集の手段】 趣味関連サイト・SNS、趣味仲間のSNS

「投資はリスク、怖い」を回避する「分散投資」「長期投資」

単純に1年で貯める金額×年数で数年後の資産額を計算する…だけで良いのでしょうか?預貯金ではまさにその通りで、その経験しか知らない藤川さん世代は、投資に縁がない限りお金に働いてもらう、お金がお金を生み出す、という感覚はないでしょう。

「投資」と聞くとこう答える方が多いです。

1.リスクがある、お金が減るのが怖い
2.難しい
3.まとまった資金がないとできない

実はこれらは回避する方法があります。

もちろん1のリスクについてはゼロにすることはできません。投資の世界におけるリスクというのはお金が減るだけではなく増える可能性も含めた振れ幅のことを意味します。したがってリスクが少なければ、増える可能性も少なくなるということ。

多少のリスクがあっても、リスクを軽減しながらお金に働いてもらうチャンスを得る方が上記の単純計算よりも資産額を増やす可能性は大きくなるのです。リスクを減らすのに効果がある方法として、一般に言われるのが「分散投資」と「長期投資」の2つです。

少額の積立に投資信託を活用するメリット

ここで、2の難しい、と3のまとまったお金がないと考える方も多いのです。こうした点を解決するのが投資信託の活用、それも積立にすることです。

投資信託という金融商品は、様々な地域、資産、そして投資対象が株式であれば様々な銘柄に分散投資しているものです。その選択は運用のプロであるファンドマネージャーという専門家や、ロボット等にお任せです(主要な株価指数(日経平均株価等)に連動することを目標にしているものもあります)。

また、投資信託は、小口(100円から)で購入できる商品もあるので、まとまったお金を投入する必要はありません。

小口の積立にすることのもう1つのメリットは時間の分散の効果も得られることです。価格変動があるものは金額を一定にして購入時期をずらすことで、安い時に多めに高い時には少なく購入して平均購入単価を抑える効果があります。また自動買い付けになるため、手間もかかりません。

しかも投資は長期にすればするだけ、ブレ幅による影響を抑えられますので、投資信託の積立を長期続けることで1~3の投資のハードルがぐっと下がることになります。これこそ藤川さんが思う「自動的にお金が増えないかな」をかなえやすいシステムを作ることを意味します。

「つみたてNISA」なら少額の積立で得た利益が非課税に

もう一点、注意すべきは投資によって得た配当金や分配金、運用益には20.315%(2037年まで復興特別所得税0.315%含)の税金がかかります。

NISAやつみたてNISAなどの制度を利用すると投資で得た収益が非課税になります。藤川さんのように投資初心者が少額で少しずつ、積立をしていきたいというのであれば、つみたてNISAが使いやすいでしょう。

前回、藤川さんに期待できる点として「SNSの活用などで情報収集することに慣れている」ということも挙げました。

自動買い付けでプロが運用してくれる(投資信託)なら情報収集力は必要ないのでは、と思う方もいるかもしれませんが、投資信託は種類も豊富でその中から自身で選ぶ必要がありますし、日々のマーケットの動向を確認する上でも情報収集の力はとても役立ってきます。

ハードルは決して高くありません。まずは手軽なつみたてNISAから始めてみてはいかがでしょうか。