【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 28634.88  ▼233.92 (1/3)
NASDAQ: 9020.77  ▼71.42 (1/3)

1.概況

先週末の米国市場は米軍が空爆でイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したことで中東情勢が悪化するとの警戒感や冴えない経済指標を受けて3日ぶりに反落となりました。ダウ平均は取引開始直後に368ドル安まで売られたあと朝方の売りが一巡すると200ドル以上下げ幅を縮める場面もありましたが、一日を通して軟調に推移すると結局233ドル安の28,634ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も71ポイント安の9,020ポイントとなっています。

2.経済指標等

12月の米ISM製造業景況感指数は47.2と前月から低下し2009年6月以来10年半ぶりの低水準となり改善を見込んでいた市場予想も下回りました。一方で11月の米建設支出は年率換算で前月比0.6%増となり市場予想を上回りました。また、昨年12月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、参加者が現在の政策金利は適切で米中貿易摩擦などによる景気後退リスクが和らいだとみていたことが明らかとなりました。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が下げ素材と金融、情報技術が1%を超える下落となりました。一方で不動産と公益事業の2業種が上げています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄は30銘柄中28銘柄が下げました。そのなかでもダウ(DOW)が2%以上下げたほか、シスコシステムズ(CSCO)も1%台後半の下落となっています。ダウ平均構成銘柄以外では、2019年10-12月期の出荷台数が前年同期を下回ったゼネラル・モーターズ(GM)が3%近く下落しました。一方で出荷台数が市場予想を上回った電気自動車のテスラ(TSLA)が3%近く上げ上場来高値を更新しています。また、地政学リスクの高まりを受けて軍需関連株が買われロッキード・マーチン(LMT)が3%以上上げたうえ、ノースロップ・グラマン(NOC)も5%を超える上昇となっています。

5.為替・金利等

先週末の長期金利は中東情勢悪化懸念から安全資産とされる米国債が買われ0.08%低い1.79%となりました。こうしたなかドル円では円高が進み107円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

先月30日に期末を控えた手仕舞い売りで下落(ダウ平均で183ドル安)した米国市場ですが、31日に小幅に反発(76ドル高)すると、年明け最初の取引となった2日には中国の金融緩和策を受けて大幅続伸(330ドル高)となり主要3指数が揃って史上最高値を更新しました。しかし、先週末に地政学リスクの高まりから大きく下落(233ドル安)した結果3日のダウ平均は先月27日に比べて10ドル安の水準となっています。こうしたなかでドル円が休場前に比べて1円以上の円高となっていることから大発会である本日の日本市場は大きく下落してのスタートが予想されます。売り一巡後に下値を拾う動きがみられるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)