英ポンド/円の短期見通し

英ポンド/円が一時143円に乗せてきた。では、短期的にいくらまで、たとえば150円の大台まで上がる可能性があるのだろうか。

英ポンド/円の90日MA(移動平均線)からのかい離率は、足元で5%以上に拡大してきた(図表1参照)。12月6日付けレポート「「ブレグジット相場」終わりの兆し」でも書いたように、2016年6月の「ブレグジット(Brexit)」(英国のEU離脱)ショック以降、同かい離率が5%以上に拡大したのは今回が3回目。その意味では、「上がり過ぎ」懸念が強くなっている可能性はあるだろう。

【図表1】英ポンド/円の90日MAからのかい離率(2000~2019年)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

ただ、短期的な「上がり過ぎ」発生こそは、中長期トレンドが上昇に向かっている可能性を示している。短期的な「行き過ぎ」とは、トレンドに沿った動きが勢い余って起こるというのが基本だからだ。上昇トレンドが展開する中では、90日MAからのかい離率も2016年12月、2013年1月、2009年6月など、最大で10%前後まで拡大したことがあった。

足元の90日MAは135.2円程度なので、それを10%上回るなら149円に迫る計算になる。以上のように見ると、英ポンド/円の「上がり過ぎ」が目一杯拡大するなら、一気に150円を目指す可能性はなくはないだろう

ただし、そもそもこの先は年末に近づき、商いが薄くなる。その中での英ポンド/円上昇は、「行き過ぎたポンド高」を試す動きと考えられるため、何かの拍子に大きな反動が入るリスクも抱えている可能性は意識する必要があるのではないか。

では、「大きな反動リスク」とは具体的にどのようなものか。英ポンド/円の90日MAからのかい離率拡大が10%前後で一巡した上述の3つのケースでは、その後1ヶ月以内に5~10%程度の英ポンド/円反落が起こった。仮に150円から、英ポンド/円が5~10%反落するなら、140円前後まで反落する計算になる。