英ポンド/円が142円を上回ってきたことで、90日MA(移動平均線)からのかい離率は5%以上に拡大してきた(図表1参照)。同かい離率が5%以上に拡大したのは、2016年6月のBrexit(ブレグジット=英国のEU離脱)ショック以降では2回しかなかった。その意味では、「上がり過ぎ」懸念が強くなっている可能性がある。

【図表1】英ポンド/円の90日MAからのかい離率(2000~2019年)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

同時にそのような、短期的な「上がり過ぎ」の可能性は、中長期的にBrexitを材料にした英ポンド/円下落が終了、すでに上昇トレンドへ転換した可能性も感じさせるものだ。経験的には、短期的な行き過ぎは、中長期トレンドと同じ方向に発生するのが基本。英ポンド/円は8月の126円で終了し、上昇トレンドが展開しているため、上昇方向へ「行き過ぎ」が発生しているということではないか。

「Brexit相場」変化の兆しは、ボラティリティー(変動率)からもうかがわれる。英ポンド/円の月間平均値幅は、Brexitショックが起こった2016年は12.818円もの大幅となったが、その後も2017年6.455円、2018年6.248円、そして今年も10月までは7.438円と大幅な状況が続いた。ところが、11月は2.512円へ急縮小となった。

以上みてきた英ポンド/円に関する数字は、Brexitというシンプルなテーマで、英ポンドが大きく下落するといった相場が変わり始めていることを示している可能性があるのではないか。