英ポンド/米ドル (1.2500〜1.3300) 11月21日〜11月27日まで

アナリシス: 

皆さま、こんにちは!英ポンド/米ドルは前回の想定通り、ポンドは膠着状態となっています。12月12日の総選挙まで、やはり動きにくい地合いが続いています。

そのような状況下、11月19日に与党・保守党のジョンソン英首相と最大野党・労働党のコービン党首は民放ITVの番組で選挙戦初の直接討論を行い、ブレグジットや国民医療制度(NHS)などを巡り両者議論を戦わせました。

それぞれの主張の中でもブレグジット関連の内容が大半を占め、ジョンソン首相は12月12日の総選挙で過半数議席を獲得することで、先に欧州連合(EU)と合意した離脱協定案をもって2020年1月31日までにEUを離脱し、貿易交渉に移る考えを改めて示しました。

一方、コービン党首は保守党の離脱協定を撤回し、関税同盟への残留やEU単一市場へのアクセスを維持した新たな離脱協定をEU側と結んだ上で、改めて国民投票を行う方針です。

コービン党首はまた、保守党政権がEU離脱後にNHSを米国の医療サービス企業に開放する可能性を指摘しました。ジョンソン首相はこれに対し「現政権や保守党政権が貿易交渉のテーブルにNHSを置くことは決してない」と否定。

スコットランドの独立問題については、ジョンソン首相は、住民投票実施を条件に労働党とスコットランド民族党(SNP)は連立政権を組むつもりだとしてきましたが、コービン党首はその可能性を否定しました。

また、SNPと自由民主党は先に、今回のテレビ討論参加者に含まれなかったことを不服としてITVを提訴。しかしロンドンの高等法院は、ITVは法律上の公的機能を有していないため、今回のケースは管轄外だとしてこの訴えを退けました。

両党の党首は、テレビ討論でのジョンソン首相とコービン党首による議論内容に「いずれも首相には不適格」「両者が怒鳴り散らし、話題が転じていた」と批判しています。ブレグジット党のファラージュ党首は、討論の内容はコービン党首が勝っていたと回答しつつも、今後国民投票が再度実施された場合に離脱と残留のどちらに票を投じるかを明確にしなかったと批判しました。

今回のテレビ討論の平均視聴者数は670万人。英世論調査会社ユーガブ(YouGov)が視聴者1,646人を対象に調査した結果、ジョンソン首相が勝ったとしたのは51%、コービン党首は49%でした。ただ、2017年総選挙時の投票動向と照らし合わせると、保守党支持者は88%がジョンソン首相を、労働党支持者は86%がコービン党首を支持しており、有権者の動向を変えるまでには至っていないもようです。

この党首討論会まで英ポンド/米ドルは日足の高値圏まで上昇していましたが、討論会前に利益確定の売りが増えて高値越えとはならず、レンジ圏内で推移している状況です。

他方、本日未明のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、金利は据え置きとなり、来月も利下げには踏み込まないとの見方が強いようです。来年は前半に利下げ1回が行われるかどうかという見通しが有力です。今回のFOMCでは、相場への影響はほぼなく、大きな動きには繋がりませんでした。今朝から米ドル売りの流れとなっていますが、このまま米ドル/円も下がっていくかどうか注視したいところです。

向こう1週間の重要指標です。

21日(木)
21:30 EUR・ECB理事会議事要旨

22日(金) 
8:30 日・全国消費者物価指数
16:00 独・GDP改定値

26日(火) 
9:00 米・パウエルFRB議長発言
24:00 米・新築住宅販売件数

27日(水)
22:30 米・GDP改定値
24:00 米・個人消費支出

それでは、月足チャートです。

【図表1】英ポンド/米ドル(月足)
出所:筆者作成

トレンドレス中段。月足Wボトム形成中となり、このままミドルを上抜けして+2σまで上げていけるかどうかの場面。今月はかなりボラティリティが低い状況です。
続いて、週足チャートです。

【図表2】英ポンド/米ドル(週足)
出所:筆者作成

トレンドレス上段。下げ幅は限定的で上段の位置をキープしています。下がるとしても1.2650付近と想定します。

日足チャートです。

【図表3】英ポンド/米ドル(日足)
出所:筆者作成

トレンドレス上段。当面レンジ形成になると想定します。

日足のボラティリティも低いため、今週は4時間足を含めたシナリオを立てていきます。

【図表4】英ポンド/米ドル(4時間足)
出所:筆者作成

4時間足は、トレンドレス中段。レンジ形成が長く続いています。いずれブレイクした時は大きく動くため、そのタイミングをしっかりと待ち、トレンド発生を逃さないようにすることが大切です。

上記の分析から、エントリーポイントとしては以下のとおりです。

予想レンジ:1.2500〜1.3300(日足レンジ幅は1.2700〜1.3020)

メインストラテジー:

買いをするなら
・1.2770〜1.2810の4時間足トレンドレス下段からの逆張りエントリー
・1.2670〜1.2700の日足トレンドレス下段からの逆張りエントリー

売りをするなら
・1.3000〜1.3030の日足トレンドレス上段から逆張りエントリー
・1.3090〜1.3120の週足トレンドレス上段から逆張りエントリー
・1.2770を下に割ったら短期足戻り目でエントリー