バランス型ファンドからは早く卒業した方が良い
投資信託の「バランス型ファンド」が人気のようです。
バランス型ファンドとは、1つの投資信託の中に株式、債券、不動産(REIT)など様々な
種類の資産が入っている商品です。
1つのファンドだけで、幅広い投資対象におまかせで投資でき、リスク分散されているのでリスクが抑えられます。特に自分でアセットアロケーションできない投資初心者向けの、入門投資商品として資金が流入しています。
投資をやらないよりは、バランス型ファンドを買った方が良いと思います。しかし、こんなことを書くとマネックスの人から怒られそうですが、私はこのバランス型ファンドからは、早く卒業した方が良いと思っています。
その理由はいくつかあります。
<理由1>バランスしていないファンドが多い
バランス型ファンドといっても、その配分比率はファンドごとにかなり異なります。中には、リスクの高い株式、不動産(REIT)、外貨建債券だけで「バランスさせた」商品もあります。
バランス型という名前だけを聞いて、組み入れている資産を確認することなく、リスク分散されていると思い込んで投資初心者がこのようなバランス型ファンドに投資すると、思わぬ結果になってしまう可能性があるのです。
<理由2>信託報酬が高いファンドがある
バランス型ファンドの中にはインデックス型の運用を組み合わせた低コストの商品もありますが、信託報酬が1%を超えるものも珍しくありません。
資産配分という付加価値に対するコストと考えることもできますが、中には現金比率が高くなっても、その部分にも信託報酬がかかるものもあります。
運用成果の割に高コストな商品が、バランス型ファンドには多いのです。
<理由3>他の投資対象と組み合わせるとバランスしなくなってしまう
アセットアロケーションは、資産全体から考えていくのが理想です。多くの個人投資家は全ての資産を1つのバランス型ファンドに集中させているわけではなく、株式などの他の金融資産や、不動産などの実物資産にも投資しています。
バランス型ファンドだけで、アセットアロケーションを考えても、それ以外に保有している資産があると、自分の資産全体ではバランスしなくなってしまいます。
個人投資家から自分に最適な資産配分を考える機会を奪う
確かに、バランス型ファンドは、誰でも気軽に投資でき、投資入門商品としての役割はあると思います。
しかし、万人に受け入れられるということは、逆に言えば、その程度の商品であるとも言えます。洋服に例えれば、フリーサイズ、薬でいえば、処方箋が無くても薬局で買える風邪薬のようなもの。無難ですが、パーソナルに対応しておらず、その効果には限界があります。
また、バランス型ファンドは、個人投資家から自分に最適なアセットアロケーションを考える機会を奪い、投資家を思考停止させてしまうという根本的な問題があると思っています。
資産配分を自分で考え実践する方が長期的に良い成果に
資産運用で最も重要なのは、銘柄選択や投資のタイミングを考えることではありません。試行錯誤しながら、自分に合った最適なアセットアロケーションを作っていくことです。
いきなりアセットアロケーションを自分で考えることは難しいかもしれません。しかし、いずれは自分に合った資産配分を自分の頭で考えて実践する。その方が長期的に良い投資成果につながります。
バランス型ファンドは、初心者・未経験者の入門商品にはなりえても、洗練された投資家を長期的に満足させるものにはならないのです。