台風19号は、科学的な、或いは行政の予想がどうであったかは正確に知らないのですが、一般的なボンヤリとした「こんなもんであろう」という予想は大きく超えて、大きな傷跡を残しました。未だに復旧に努められている、多くの被災者の方々、そして行政を含めた多くの関係者の方々の無事を祈り、一日でも早い復旧を願いたいと思います。
今回の台風は大量な雨を伴うもので、各地での水害が大きな課題となっています。いわゆる地球温暖化、地球の天候軸のずれによって大洋の表面温度分布が変わり、台風の発生場所が従来より北に、即ち日本列島に近いところになり、その結果の大雨だったようなので、このような台風は今後は定期的に来るかも知れません。厄介な問題です。
日本の地形を考えると、即ちより広大な山岳地の下流に、山岳地より狭い平地が、かつ海抜の低いところに拡がっている構造を考えると、この水害を抜本的に解決するのは難しそうです。ダムは一定の効果を発揮するでしょうが、増設するには長い時間と大きな財政負担を伴うし、それはスーパー堤防を建造するのも同様の問題を抱えるでしょう。さてどうするか。
ラグビーワールドカップ・スコットランド戦が行われた横浜国際総合競技場は、stiltsと呼ばれる竹馬構造の上に立っていて、要は高床式になっており、水害を防ぐために鶴見川に隣接して造られた遊水地の中に建っています。だからあの大雨の翌日でも、試合を実施することが可能でした。河川の氾濫が起きた地域の家屋を、このような高床式に替えてくという方法はあるでしょうか?
一軒、一軒の話なので、ダムやスーパー堤防よりも、圧倒的に速く対応が出来そうです。地震対策が課題になりそうですが、日本の技術であれば解決出来るでしょう。ダムやスーパー堤防に較べて、圧倒的に全体コストは低い気がして、それは税金で補助すべきだと思いますが、そして何より、ダム・堤防を造れる一部の特殊・特大な建設業に限らず、広く日本中の一般的な建設業者が取り組めるので、需要創出の拡がり的にもいいと思うのですが、どうでしょうか?
いずれにしても、天候が変化している中で、自然と共生していく方向での新しい都市と居住のデザインが待ったなしで必要になってくると思われます。