政府は日本企業に対する外資による出資の規制を強化するとのこと。この場合の企業には上場企業だけでなく非上場企業も含まれ、即ちスタートアップ企業も含まれ、業種の幅は広く、或る意味曖昧で、しかも規制のハードルはたったの出資比率1%という内容です。安全保障上の理由からの要請とはいえ、これはやり過ぎだと思います。例えば、AI(人工知能)のスタートアップへのアメリカのベンチャーキャピタルからの投資も制限されることになり得ます。
地政学リスクが高まる中で、アメリカその他の国の例にならった、というのでしょうが、そもそも他国に於いては国内企業に対する外資からの出資、いわゆる外国直接投資(Foreign Direct Investment=FDI)の対GDP比は数十%であるのに対し日本はたったの5.6%であり、彼の中国ですら日本の二倍以上あります。資本市場に絡む日本の規制のあり方は常にこのような「やり過ぎ」の嫌いがあります。
株式流通市場に於ける様々な規制も、「アメリカがこうだから」といって導入するのですが、アメリカは市場資本主義がとても進んだ国で、時に行き過ぎなのでそれを是正しているのに対し、日本は市場資本主義がまだまだ未熟で、もっと育てなければいけないステージなのに、世界一成熟している国の規制例を採り入れるので、それではまるで中年のおじさんの食事制限を、育ち盛りの子供に適用するようなものです。今回の外資規制も、同じ類いの愚策に思えます。
このままでは日本はどんどん内向きになり、守ってばかりで成長しなくなり、いやもう既にそうなっていますが、世界に占める存在感が小さくなりすぎ、いずれ誰からも相手にされなくなってしまうのではないでしょうか?今回の外資規制、撤回は難しくとも何とか改良をして、日本の成長を止めないようにすべきだと思います。