【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 26164.04  ▼313.98 (10/8)
NASDAQ: 7823.78  ▼132.52 (10/8)

1.概況

米国市場は米政権が中国企業に対する新たな禁輸措置を発表したことや、中国の複数の政府高官に対するビザ発給を制限する方針を示したことなどで10日からスタートする閣僚級の米中貿易協議進展への期待が後退し大幅続落となりました。

201ドル安でスタートしたダウ平均は昼前に338ドル安まで売られた後下げ幅を縮めるとパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がバランスシートの拡大政策を近く始めると表明したことから取引終盤に56ドル安まで持ち直す場面もありました。しかし、短期金利の乱高下を防ぐことが目的で金融危機時の大規模資産購入と混同すべきではないとパウエルFRB議長が述べると引けにかけて再び下げ幅を広げる展開となり結局ダウ平均は313ドル安の26,164ドルとこの日の安値圏で取引を終えています。

また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も132ポイント安の7,823ポイントとなっています。

2.経済指標等

9月の米卸売物価指数(PPI)は前月比0.3%低下し上昇を見込んでいた市場予想を下回りました。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました、そのなかでも金融が2%安となったほか、ヘルスケアと情報技術、エネルギー、素材も1%台後半の下落となっています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄はウォルマート(WMT)を除く29銘柄が下げました。そのなかでもダウ(DOW)とシスコシステムズ(CSCO)が3%近く下げたほか、JPモルガン・チェース(JPM)とIBM(IBM)も2%を超える下落となりました。

ダウ平均構成銘柄以外では、宅配ピザ大手ドミノ・ピザ(DPZ)が4%以上上げました。決算は市場予想を下回りましたが、10億ドルを上限とする自社株買いを発表したことが好感されました。一方でトランプ政権が米政府年金基金による中国株への投資制限について協議していると伝わったことで中国株の米預託証券(ADR)が売られました。アリババ集団(BABA)が4%近く下げたうえ、ネット検索のバイドゥ(BIDU)も2%近く下落しています。 

5.為替・金利等

長期金利は0.03%低い1.53%となりました。ドル円は107円近辺で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国株安を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の21,500円を割り込みそうですが、朝方の売り一巡後に下げ渋るような展開となるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)