香港ハンセン指数は「覆面禁止法」反対のデモで下落

先週の中国株は、中国本土市場は国慶節の連休で10月1日(火)~10月7日(月)までが休場のために、9月30日(月)のみの取引(10月8日(火)から取引が再開されます)、香港市場も10月1日(火)が国慶節の祝日でお休みでしたので4営業日の取引となりました。なお、香港市場は10月7日(月)も重陽節の祝日で休場となります。

香港ハンセン指数は、先々週末にトランプ政権が米国の投資家による中国への証券投資を抑制する方策について検討していると伝えられたことから、9月30日(月)はマイナス圏からのスタートとなりました。

しかし、米国の財務省が、現在のところ中国への証券投資抑制の予定はないと発表したことなどから株価は上昇に転じています。さらに米国のそのような動きは、最終的には中国企業の香港上場を促進させ、香港市場を活性化させることにつながるとの思惑にもつながり、そのまま高いところで終えました。

そして、10月2日(水)、3日(木)は横ばいの推移ではあったものの、ローソク足では陽線が続き、底堅い株価推移が続いたのですが、10月4日(金)は下げて終わっています。

10月4日(金)に株価が下げた原因は、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が抗議活動での覆面を禁止する「緊急状況規則条例」を5日に施行することを受けて、大規模なデモが発生したことによるものです。

デモはその後も続き、10月5日(土)には香港鉄路は2007年以来のほぼ全線運休となり、デモ隊は銀行施設やスーパーマーケットを襲撃するなどして、激しさを増しています。

ちなみに、香港銀行協会は10月6日(日)に市内の現金自動預払機(ATM)の10分の1が破壊されたことを明らかにしています。今なおデモの収束シナリオは見えず、香港の実体経済への影響も懸念されてきているところです。

経済指標は悪化続く、米中通商協議の行方に注目

先週は中国の各種PMIが発表されています。

まず、9月の中国国家製造業購買担当者景気指数(PMI)は市場予想の49.6や8月実績の49.5を上回る49.8で着地する一方、中国国家非製造業購買担当者景気指数(PMI)は53.7と市場予想の53.9や8月実績の53.8を下回って着地しました。

一方、9月のCaixin中国製造業購買担当者景気指数は51.4と、市場予想の50.2や8月実績の50.4を上回って着地しています。中国の製造業PMIが市場予想を上回っている理由はインフラ投資拡大や減税などの財政投資拡大の影響とみられます。

ただ、Caixin中国製造業購買担当者景気指数のサブ指数を見ると、新規受注指数全体は加速していますが、新規輸出受注指数は前月に続いて低下しており、米中通商問題の影響が出ていることがわかります。また、中国国家製造業購買担当者景気指数ですが、市場予想は上回ったものの、5ヶ月連続で景況感の境目である50を割り込んでいます。

一方、香港統計局によると、香港の8月の小売売上高は前年同月比で23%減少し、月次ベースで過去最大の落ち込みとなったとのことです。いうまでもなく、デモが原因ですが、宝飾品や時計などの贅沢品が特に大きな影響を受けています。

このままデモが続けば、香港経済への影響は大きなものとなる見通しで、香港地場銘柄の株価への影響も大きなものとなってくるでしょう。

今週の注目点は、やはり10月10日(木)~11日(金)にワシントンで行われる米中の閣僚級の通商協議の行方がポイントとなるでしょう。

ここで何の進展もないようだと10月15日(火)から米国は2,500億ドル分の中国からの輸入に対して関税を25%から30%へと引き上げることになります。もちろん、そうなると中国経済や中国株への悪影響も大きくなってくるところで、短期的には株価が売られやすくなりますので、注意が必要です。今週は米中通商協議の進展に要注目です。