米ドル/円 日足

週間予想レンジ:106.50~108.00

メインストラテジー:押し目買い

・悪材料の「出尽くし」でリスクオフの流れは一服
・107円関門の一旦回復をもって8月26日安値の「ダマシ」を証左
・8月26日大陽線は底打ちを示す「リバーサル・デー」となる公算

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は続伸、先々週の大陽線の意味合いを一段と証左した。先々週は一旦年初来安値を更新して高く大引け、大陽線をもって下落一服を示唆した。繰り返し指摘してきたように、この安値更新自体が「フォールス・ブレイクアウト」、即ち「ダマシ」である公算が大きく、先週の値動きで一段と証明されたわけだ。

8月26日の一時安値更新、また当日の陽線引けがあって、底打ちを果たす「リバーサル・デー」になった蓋然性は大きい。先週の107円関門のブレイクは8月2日以来の高値トライであっただけに、リバーサルの意味合いを強化し、これから一段と切り返しを果たす公算だ。

もっとも、既述のように、8月の円高基調があったものの、モメンタムの加速という印象は薄かった。例年「お盆」時期において、商い薄で仕掛け的な円買いが見られやすいという「ジンクス」があるので、本来早期安値更新があってもおかしくなかった。しかし、お盆の期間にてそれを回避したことで、本来地合いの改善はすでに図られたところだった。

言い換えれば、8月23日や8月26日安値までの急落、材料面におけるサプライズを受けた一時のオーバー、という位置づけであった。従って、安値更新があっても続かず、また先週までの切り返しは我々の想定通りであり、安値更新自体の「フォールス・ブレイクアウト」のサインを重視する場合は、これからの安値更新を回避できる見込みだ。

このような判断は、何といっても8月26日大陽線が果たした「リバーサル・デー」のサインの信憑性にあった。安値更新が一時に留まり、また当日陽線で大引けしたからこそ、8月13日~8月23日で形成された「インサイド」の下放れは一日で否定されたことになる。逆に先週の続伸で8月13日の高値が更新され、同「インサイド」の下放れ自体も「ダマシ」だったことを証左した。

さらに、8月6日高値から引かれた元抵抗ラインのブレイクは終値をもって果たしていたから、8月1日のような一時抵抗ラインをブレイクしてから大きく反落した。即ち「ダマシ」の可能性を否定し、諸サインの整合性からも底打ちまた切り返しの有効性を証左していたとみる。

材料の「出尽くし」に関して、マーケットはマイナス材料に食傷気味だ。米中対立がかなり激化した状況でも終値をもって105円大台を割らなかったことは、市場の内部構造として2015年高値を起点とした大型も立ち合いの維持を示唆している。

米中合意できるかどうかはなお不透明であり、香港の争乱も決着されていないが、少し状況が緩和されると、米国株をはじめとするリスク資産の選好の動きは鮮明になってきた。これは他ならぬリスクオンのムードへの復帰を暗示するサインと受け止められ、引き続き米ドルの切り返しを有力視する。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:72.50~75.00

メインストラテジー:押し目買い

・先週の大幅続伸をもって先々週の底打ちを証左
・1月安値に対する一時の更新が「ダマシ」だったことは重要な示唆
・米ドル/円と同様、豪ドル/米ドルの底割れの回避で両サイドの強さを示す

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は大幅続伸、73円以上の終値をもって先々週の安値更新が「ダマシ」だったことを証左した。1月安値に対する一時の下放れは「フォールス・ブレイクアウト」だったことに鑑み、これからの切り返しも加速される公算だ。

繰り返し指摘したように、7月後半から大きく続落し、米ドル/円と連動、また豪ドル/米ドルの続落という「ダブルパンチ」で一気に年初来安値を更新した。その安値更新自体が下落波の「クライマックス」のサインと見なすべきで、安値更新後の下値余地が限定的なら、むしろ底打ちしやすいと推測されていた。そのため、先々週の陽線引けは最初のサインを灯し、先週の続伸をもって同サインの蓋然性が証明されたとみる。

もっとも、一時70円大台割れまでの急落はテクニカル上の「ダマシ」の発生でもたらした結果であった。この「ダマシ」とは、既述のように6月安値を「ヘッド」と見なした元「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」の可能性であった。

これまでこの「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」の否定で大きく続落してきたわけだが、8月7日安値70.73円までのトライで既に同指示ターゲット(倍返し)を超えていたから、さらなる下値余地が限られていた。また再度底打ちのサインを点灯してもおかしくなかったことも既述のとおりである。そのため、8月26日70円関門の一旦割れがその一環と見なしたことは正解であった。

8月13日の大陽線はその後8月23日までの罫線を「包み」、大きな「インサイド」のサインを点灯し、一時の安値更新がホンモノなら、本来69円関門割れまでの下値余地を拓いてもおかしくなかったことはこの前の指摘の通りだ。

しかし、8月26日当日の反転や大陽線での大引けで前記サインを否定、安値更新を回避したところ、同サインは「ダマシ」となり、一転して底打ちの証左となったわけだ。

先週8月高値をブレイク、また8月高値以上の大引けを果たしていたから、底打ちのサインを一段と証明した上、これから切り返しのモメンタムや余地の増大を示したと言える。

さらに、1月安値に対する一時安値更新自体が大きな「ダマシ」のサインと化し、底打ちのサインが証明された以上、これから戻りも従来の想定より早いかと推測される。

米ドル/円と同様、豪ドル/ドルの底割れの回避、また切り返しの加速が同時に観察され、両サイド(豪ドル高/米ドル安、米ドル高/円安)から豪ドル高/円安を支えるから、メイン抵抗の74円関門のブレイクにつながり、また74円関門以上の終値をもって更なる上値余地を拓く見通し。

実際、74円関門以上の終値があれば、テクニカルの視点では4月高値を起点とした下落トレンドの上放れを示し、ファンダメンタルズ上の視点ではリスクオンのムードの高まりを示す。主要クロス円のうち、しばらく豪ドル/円のリードが想定され、ショート筋の踏み上げもあって、豪ドルの一段高を有力視する。