米ドル/円 日足

週間予想レンジ:105.00~107.00

メインストラテジー:レンジ取引

・トランプ砲の炸裂があっても下値は限定的、円高の限度を示唆
・年初来安値更新があったものの、一時に留まった自体が大きなサイン
・テクニカル上の「ダマシ」が発生した可能性は大きく、これから検証される

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は一旦年初来安値を更新して高く大引け、大陽線をもって下落一服を示唆した。もっとも、8月26日104.45円までの安値打診は、8月23日に中国側の報復措置を受けトランプ氏が応酬する形で仕掛けられた「突っ込み」の結果だった。

先週のコラム「米ドル/円と豪ドル/円の急落、米中貿易戦争激化を受けた「ダマシ」になるか」で指摘したとおり、年初来安値の一時的更新は、4月高値を起点とした下落波の延長やオーバーの一環と受け止め、そもそも長く続くものかどうかは疑問視されていた。

既述のように、地合いが悪化したとはいえ円高基調の加速という印象は薄かった。というのも、例年「お盆」時期において商い薄で仕掛け的な円買いが見られやすいという「ジンクス」があり、本来早期に安値更新があってもおかしくなかった。

しかし、お盆の期間にてそれを回避したことは市場の極端心理を和らげたのみではなく、一転して陽線で大引けしたから、本来地合いの改善がすでに図られたと思われる。言い換えれば、8月23日や26日安値までの急落は材料面におけるサプライズを受けた一時的なオーバーだった。

とはいえ、円買いの継続はテクニカル的な根拠もしっかりあった。米連邦準備制度(FRB)による7月の利下げ後に一旦上昇し、109.33円にトライした。それにより日足における従来の見方、即ち「三尊底」の可能性を一段と強化したものの、8月1日大きく反落し、同フォーメーションを否定した。

また典型的な「フォールス・ブレイクアウト」のサインを点灯し、4月高値112.41円を起点とした下落波の延長を示していたので、下落波の延長も蓋然性があった。

8月13日の大陽線はその後8月23日までの日足を「包み」、大きな「インサイド」のサインを点灯した。一旦年初来安値更新もあって、このまま下落を継続する場合は103円関門手前までの下値余地を拓く、といったシナリオも先週のコラムにて提示済であった。

しかし、度々指摘してきたように、4月高値を起点とした下落は大分行き過ぎた分、いつ底打ちしてもおかしくない。ファンダメンタルズの視点から最悪とも捉えた時期だからこそ、前記「インサイド」のサインが効いてくるかどうかは大きな焦点だ。

換言すれば、サインの指示通りに行かない場合は逆に底打ちの可能性を強く示唆、紆余曲折でも繰り返しを果たしてくるかと推測されるといった見方も先週の指摘の通りだ。8月26日の安値更新、また同日の陽線引けは前記「インサイド」のサインを否定するのみではなく、1月安値に対する更新自体が「フォールス・ブレイクアウト」、即ち「ダマシ」のサインの可能性を示す。

米株の急落に伴う円買いの本質は、リスクオフ云々よりもFRBによる継続利下げを促進する相場の表れと捉える。米株の大きなブル基調が崩れていない限り円高のピークはすでに図られたか、近々迎えるだろう。米中対立の長期化を覚悟しつつ、今週一段リバウンドの可能性に注目したい。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:71.00~73.00

メインストラテジー:レンジ取引

・安値再更新があったものの一時に留まり再度底打ちを図る
・「ダマシ」になる可能性が示唆され、新たなサインを形成していく見通し
・豪ドル対ドルの底割れの有無が引き続き重要なポイント

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は一旦安値更新してから切り返し、陽線で大引けした。一時の安値更新によって、日足では「ダブル・ボトム」といった従来の可能性を否定し、米中対立の激化を受けた結果として成り行きだった。

先週のコラムで指摘した通り、そこから急落を回避できればなお底打ちのサインを点灯しやすいタイミングにあったから、先週の切り返しはその通りの値動きだったと言える。

米ドル/円と連動して7月後半から大きく続落し、また豪ドル対ドルの続落という「ダブルパンチ」で一気に年初来安値を更新した。しかし、繰り返し指摘したように、その安値更新自体が下落波の「クライマックス」のサインと見なすべきだ。安値更新後の下値余地が限定的ならむしろ底打ちしやすいと推測されていたから、先週の陽線引けは大きな証左とみる。

もっとも、70円大台前半までの急落は、テクニカル上の「ダマシ」の発生でもたらした結果であった。この「ダマシ」とは、既述のように6月安値を「ヘッド」と見なした元「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」の可能性であった。

同「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」フォーメーションの否定で大きく続落してきたわけだが、8月7日安値70.73円までのトライ、すでに同指示ターゲット(倍返し)を超えていた。そのため、さらなる下値余地が限られ、また再度底打ちのサインを点灯してもおかしくなかったことも既述の通りだ。8月26日70円関門の一旦割れ、その一環と見なせる。

8月13日の大陽線はその後8月23日までの罫線を「包み」、大きな「インサイド」のサインを点灯した。一時の安値更新がホンモノなら、これから69円関門割れまでの下値余地を拓いてもおかしくなかったことは先週の指摘の通り。

しかし、8月26日当日の反転や大陽線での大引けは前記「インサイド」のサインを否定した。安値更新を回避したところ、同サインは「ダマシ」となり一転して底打ちの証左となったわけだ。

これからの焦点は、やはり前記「ダマシ」の蓋然性が一段と証左されるかどうかにある。72円関門の回復があれば一段と確信を得られ、またこれからの切り返しの土台として豪ドルを支えるだろう。

とはいえ、仮に底打ちがあってもオーバーシュートだっただけに、回復しても一直線な勢いを期待できないと思われる。

目先はあくまで「売られすぎ」に対する修正という局面にあるから、切り返し自体の紆余曲折を覚悟すべきだ。豪ドル対ドルの切り返しも中国要素の影響で再度失速する恐れがあるから、豪ドル/円は強くても安値圏でのレンジ相場に留まる見通しとなる。