米ドル/円 日足

週間予想レンジ:104.50~106.50

メインストラテジー:レンジ取引

・中国の挑発を受け、トランプ砲の炸裂で再び円高
・年初来安値更新があったものの、一時に留まる可能性もある
・テクニカル上の「ダマシ」が発生するかどうかは焦点

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週はほとんど保ち合いの市況だったが、8月23日(金)は急落し、ベアトレンドを継続、執筆中している現時点で、一旦年初来安値の更新を果たした。

中国側が突然関税引き上げ報復措置を仕掛けたのに対し、トランプ氏は応酬する形で再度関税引き上げを指示、米中対立は長期戦や消耗戦の様子を見せている。従って、年初来安値の一時更新は、4月高値を起点とした下落波の延長やオーバーの一環と受け止める。

もっとも、地合いが悪化したとはいえ、円高基調の加速という印象は薄い。というのも、例年「お盆」の薄商い時期に仕掛け的な円買いが見られやすいという「ジンクス」があり、先々週には1月安値に迫った米ドル/円の安値更新があってもおかしくなかった。

しかし、先々週それを回避したことは、市場の極端心理を和らげたのみではなく、一転して陽線で大引けしたから、本来先週の保ち合いが成り行きのはずだった。言い換えれば、先週末の急落は材料面におけるサプライズを受けた一時のオーバーであり、また目先の安値更新も同じ視点で捉えるかとみる。

もっとも、円買いの継続はテクニカル的な根拠もしっかりあった。米連邦準備制度(FRB)による7月の利下げ後は一旦上昇し、109.33円にトライもした。

日足における従来の見方、即ち「三尊底」の可能性を一段と強化したものの、8月1日には大きく反落し、この「三尊底」フォーメーションを否定した。また典型的な「フォールス・ブレイクアウト」のサインを点灯し、4月高値112.41円を起点とした下落波の延長を示していた。

8月13日の大陽線、その後8月23日までの日足を「包み」、大きな「インサイド」のサインを点灯した。本日8月26日の一旦年初来安値更新もあって、このまま下落を継続する場合は103円関門手前までの下値余地を拓くだろう。

反面、度々指摘してきたように、4月高値を起点とした下落が大分行き過ぎた分、いつ底打ちしてもおかしくない。ファンダメンタルズの視点から最悪ともいえる足元だからこそ、同サインが効いてくるかどうかは大きな焦点となる。

言い換えれば、サインの指示通りに行かない場合、逆に底打ちの可能性を強く示唆し、紆余曲折でも繰り返しを果たしてくるかと推測される。今週の値動きは、大きな示唆をくれるかとみる。

米株の急落に伴う円買いの本質は、リスクオフ云々よりもFRB継続利下げを促進する相場の表れである。米株の大きなブル基調が崩れていない限り、円高のピークは近々迎えられるとみる。

反面、4月高値を起点とした米ドルの反落が大型化され、また延長されてきた分、これからの回復があっても紆余曲折を覚悟しておきたい。米中対立の長期化や複雑化が、これからも相場の悪乱要素として警戒すべき。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:70.00~72.50

メインストラテジー:レンジ取引

・安値再更新をもってベアトレンドの延長を示唆
・半面、下落モメンタムの低下も見られ、「ダマシ」になる可能性も
・豪ドル対米ドルの切り返し、継続されるかどうかもポイント

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は弱含みの保ちあい、また陰線引けをもって下落トレンドの延長を暗示し、今朝の一時安値再更新につながった。日足では「ダブル・ボトム」といった従来の可能性を否定した。米中貿易戦争の激化を受けた結果なので、成り行きと言えるものの、ここから急落を回避できれば、なお底打ちのサインを点灯しやすいとみる。

7月後半から大きく続落し、米ドル/円と連動、また豪ドル/米ドルの続落という「ダブルパンチ」で一気に年初来安値を更新した。しかし、その安値更新自体が下落波の「クライマックス」を象徴するサインと見なすべきだ。

この安値更新後の下値余地が限定的なら、むしろ底打ちしやすいかと推測されていた。今朝の安値再更新があっても、基調の判断は変わらない。
もっとも、70円大台前半までの急落はテクニカル上の「ダマシ」の発生でもたらした結果とみられる。

この「ダマシ」とは、既述のように6月安値を「ヘッド」と見なした元「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」の可能性であった。同フォーメーションの否定で大きく続落してきたわけだが、8月7日安値70.73円までのトライ、すでに同指示ターゲット(倍返し)を超えていた。

そのため、さらなる下値余地が限られ、また再度底打ちのサインを点灯してもおかしくなかったことも既述の通りである。今朝の安値トライはその一環と見なせる。

8月13日の大陽線、その後8月23日までの罫線を「包み」、大きな「インサイド」のサインを点灯した。今朝一時の安値更新がホンモノなら、これから69円関門割れまでの下値余地を拓いてもおかしくなかろう。反面、安値更新を回避できれば、同サインは「ダマシ」となり、一転して底打ちの証左となるわけなので、今週の値動きは肝心である。

とはいえ、仮に底打ちがあってもオーバーシュートだっただけに、回復があっても一直線な勢いを期待できないだろう。目先はあくまで「売られすぎ」に対する修正という局面であるから、切り返し自体の紆余曲折を覚悟しておきたい。

豪ドル/米ドルの切り返しも中国要素の影響で再度失速する恐れがあるから、豪ドル/円は強くても安値圏でのレンジ相場に留まる見通しだ。