先週末の日経平均は、米中貿易交渉の進展期待などから200円超上昇し2万700円台に乗せて8月の取引を終えた。ただ、相場のムードは依然として重苦しいままである。9月最初となる週明けの東京市場は反落して始まりそうだ。まず9月1日に米国が対中制裁関税第4弾を発動、中国も即時報復に動いた。31日に発表された中国の8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月より0.2ポイント低下し49.5だった。拡大・縮小の節目となる50を4カ月連続で下回っているが数値が悪化するのは5月以来、3カ月ぶりだ。香港のデモが一向に収束しないのも不安材料だ。英国ではボリス・ジョンソン首相が議会を5週間閉鎖することを発表、ハードBREXITへの懸念も高まっている。
ただ日本株は相当打たれ強くなっている。8月は米国株が再三急落し、円高も105円割れまで進んだが日本株は意外にしっかりしていた。NY株が急落するたびに、市場関係者の多くが日経平均2万円割れを覚悟したに違いない。しかし、2万円割れどころか、8月月間の安値は2万261円(終値ベース)。2万200円台で終わったのはこの1日だけで、他の安値は2万400円台までにとどまった。日経平均は2万500円の節目を挟んでの値動きとなり8月月間の平均は2万629円であった。
この底堅さの理由は、日本株はすでにボトム圏に達しているからだろう。日経平均の1株当たり純資産は2万円を超えている。PBRはほぼ1倍だ。PBR1倍割れは日本企業全体として純資産が毀損していくことを意味するわけで、さすがにそこまでの評価にはならない。下値は固まったので、あとは割安修正が入るきっかけ待ち。なんと言っても米中貿易交渉の最終決着が最重要だが、9月の欧米日の金融政策会合も相場を動かす材料になるだろう。株価浮上の最大の鍵は日本企業の業績底入れの兆しが見えること。しかし、それは7-9月期の決算発表シーズンである10月下旬まで待たなければならない。まずは8月についでパフォーマンスの悪い9月相場を乗り切ることだ。
今週は月初週に当たり米国で重要指標の発表が相次ぐ。3日にISM製造業景況指数、5日にISM非製造業景況指数、6日に雇用統計が発表される。なかでもISM製造業景況指数に注目したい。ISM製造業の市場予想は51.5と前回の51.2から小幅に持ち直す見通し。ISM製造業は節目の50は上回っているものの前月まで4カ月連続で低下しており、市場予想通り下げ止まれば相場のムード改善に寄与するだろう。
今週は2日がレーバーデーで米国市場は休場。週明けの東京市場は反落となりそうだと冒頭述べたが市場参加者が少なく小幅に下げて始まった後は、もみ合いに終始するだろう。今週の予想レンジは2万500円~2万1000円。米国景気指標と米中貿易協議に関するニュース次第では2万1000円の大台を試す場面もあるだろう。