英ポンド/米ドル (1.1890〜1.2430)  8月29日〜9月4日まで

アナリシス: 

皆さま、こんにちは! ブレグジット関連で一つ、英国内で大きな動きがありました。ジョンソン首相は8月28日、9月半ばに議会の閉会を宣言するようエリザベス女王に要請しました。女王は要請を承認し、議会の再開は10月14日になる見込みです。

10月14日まで閉会されるということは、10月17〜18日に開催予定のEU首脳会議まで数日となります。ジョンソン首相は野党が合意なき離脱の阻止に向けた法案を成立させる時間を奪うことを狙い、このような手段に打って出たと見られます。この措置には野党に加え与党・保守党内からも反対する声が上がっている状況です。

英国議会は現在夏季休暇中ですが、9月3日に審議が再開される予定となっています。同首相は再開から2週目に今会期の終了を宣言するよう女王に要請したとしており、これは9月9日からの週に当たります。女王は各党の党大会が終了した後の10月14日に新たな会期を開始し、施政方針演説を行う見通しです。

ジョンソン首相はこの間にEUとの離脱交渉がまとまれば、新たなEU離脱協定を施政方針に盛り込み、10月31日の離脱期限までの可決を目指す模様です。施政方針演説を巡る採決は、10月21日か22日と予定されています。ジョンソン首相は記者団に対し、離脱を巡り討議する時間は十分にあると強調しています。

英国議会は通常毎年春に1年間の会期を終え、女王が閉会を宣言します。閉会中は一切の審議が停止され、通過していない法案は廃案となるのが原則です。閉会の具体的なタイミングは政府が決定し女王に助言しますが、メイ前首相はブレグジットのめどを付けるため会期を延長しました。今会期は2017年6月から続いており、過去350年超で最長となっています。

最大野党・労働党と野党各党の首脳は8月27日、合意なき離脱の阻止に向けた法案の成立に一致協力して取り組むことで合意したばかりでした。最大野党の労働党のコービン党首は、議会閉会措置について「わが国の民主主義を脅かす非道な行為」と強く反対意見を表明しています。その他にも反発の声は大きいようです。

なお、スコットランドの民事控訴院では先に、政府による議会閉会措置の合法性と合憲性を問う訴訟が始まっています。EU残留派議員などから成る超党派のグループが起こしたもので、9月6日に審問が行われる予定ですが、同グループは今回の措置を受け審議の前倒しを要請することを検討しています。

上記の流れから、まだまだ合意なき離脱の可能性も高く、英ポンド/米ドルの動きとしては乱高下する可能性もありますので、注意が必要です。

他方、今週8月26日月曜の早朝には米ドル/円は104円台まで下落し、年始のフラッシュ・クラッシュを彷彿とさせる動きも見られました。その後、円安に傾き、現在105円後半から106円台前半で膠着状態となっていますが、年内の米ドル/円相場は円高方向の見方が強く、株式相場も軟調なため、このまま行けば年内には102円から100円台まで下落する可能性が十分にあると筆者は見ています。

それでは、月足チャートです。

【図表1】英ポンド/米ドル(月足)
出所:筆者作成

トレンドレス下段。−2σと最安値付近ですが、バンドウォークして安値更新の可能性もあります。一旦陽線で今月が終われば、上昇方向に転じていくことも想定できます。

続いて、週足チャートです。

【図表2】英ポンド/米ドル(週足)
出所:筆者作成

ダウントレンド戻り目形成中。現在−1σ反発のタイミングですが、ここで反発して−2σ方向に進むのか、−1σを上抜けするか、どちらの動きになるのか重要なポイントです。

最後に、日足チャートです。

【図表3】英ポンド/米ドル(日足)
出所:筆者作成

ダウントレンド後の中段保合い相場。1.2290〜1.2300付近が中段保合い上限のため、ここから立てられるシナリオは以下のとおりです。

① ここで抑えられて、下落する
② 週足MA、もしくはミドル反発までもう少し上昇してから下落する
③ 1.2000〜1.2100の間で日足Wボトムからトレンド転換して上昇する

向こう1週間の重要指標です。

29日(木)
21:30 米・GDP改定値

30日(金)
18:00 EUR・消費者物価指数速報値
21:30 米・個人消費支出

9月3日(火)
23:00 米・ISM製造業景況指数

上記の分析からエントリーポイントとしては、以下のとおりです。
予想レンジ:1.1890〜1.2430

メインストラテジー:

日足ベースシナリオとして
買いをするなら
・1.1890〜1.1950の月足Wボトムを根拠にエントリー
・1.2000〜1.2100の日足WボトムやBOXトレ転を根拠にエントリー

売りをするなら
・1.2280〜1.2320付近の週足−1σ反発+日足中段保合上限を根拠にエントリー
一段上がって、
・1.2380〜1.2430付近の週足MAもしくはミドル反発+日足中段保合上限を根拠にエントリー