米ドル/円 日足

週間予想レンジ:105.50~107.00

メインストラテジー:押し目買い

・米中摩擦激化で一旦リスクオフの動きだが、年初の値動きに比べ許容範囲
・トランプ米大統領による意図的な政策示唆はきっかけだっただけに、円高でも限界あり
・FRBの継続的な利下げを促進する相場、年初来安値更新を回避できる見通し

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は大きな波乱となった。FRB利下げ後一旦上昇、109.33円のトライもあって、日足における従来の見方、即ち「三尊底」の可能性が一段と強くなった。しかし、8月1日大きく反落し、同フォーメーションを否定した。

また典型的な「フォールス・ブレイクアウト」のサインを点灯し、4月高値112.41円を起点とした下落波の延長を示し、目先106円関門割れに繋がった。8月1日罫線のサインに鑑み、106円関門割れがあっても同サインの指示通りなので、ここから年初来安値の104.97円をトライしてもおかしくなかろう。

一方、既述のように、4月高値を起点とした下落波は最終段階にある。米中対立の激化などファンダメンタルズの悪化があっても、先週の反落や目先の下落が年初急落時と同様にかなり「オーバーシュート」の状況を示す。

言い換えれば、今回トランプ米大統領による意図的な政策示唆がもたらした米ドル/円の反転や急落は、より大きな視点で捉えるとむしろ「クライマックス」の段階であることを暗示している。年初来安値更新さえ回避できれば、再度ドルの切り返しにつながる公算だ。

その上、7月の利下げが確実視され、利下げ予想をほぼ織り込まれただけに、利下げ実施前後における「事実の買い戻し」が発生しても長く続かなかったのも、ドル売り再開の要素であったと推測される。

しかし、トランプ氏の発言が、継続的な利下げに躊躇するFRBの背中を押すために意図的に利下げの環境を作り出した思惑が大きいだけに、先週の反乱を目先の続落と過大評価すべきではなかろう。

従来の位置づけ、即ち年初のフラッシュ・クラッシュに対する修正は4月高値をもって一旦行われ、足元まで「深押し」を形成している。

しかしあくまで調整子波にすぎず、安値更新さえ回避できれば、1月安値104.97円を起点とした上昇波に復帰する、というメインシナリオを維持しておきたい。実際、1月3日の罫線が示した究極な「スパイクロー」のサインは目先でもなお効いており、米ドル/円の下値余地を制限してくる見通しだ。

もっとも、ドルインデックスの一時頭打ちも観察され、クロス円における急速な外貨安・円高も一服してこよう。間接的に米ドル/円の底打ちを支援してくれる可能性もあり、105円台における下げ止まり、また再度底打ちのサインを期待したい。

とはいえ、107円前後はすでにメイン抵抗と化し、底割れを回避できても何らかの材料なしでは今週の上値は限定の公算だ。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:71.00~73.00

メインストラテジー:押し目買い

・年初来安値更新でもクライマックスの段階
・「ダブル・ボトム」の形成可能性に注目
・豪ドル対ドルの大幅下落の一服も支援材料

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は大きく続落した。米ドル/円と連動、また豪ドル/米ドルの続落という「ダブルパンチ」で一気に年初来安値に接近、目先の年初来安値更新につながった。1月3日の罫線は究極な「スパイクロー」のサインだっただけに、安値更新自体がより大幅な下値余地を示す。

反面、一時の下放れや安値更新をもって判断するのも性急であり、ここから下値打診があっても値動き限定的なら、一転して「ダブル・ボトム」を形成する可能性も無視できない。

もっとも、足元までの急落は、テクニカル上の「ダマシ」の発生でもたらした結果とみられる。この「ダマシ」とは、既述のように、6月安値を「ヘッド」と見なした元「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」の可能性があった。

このフォーメーションの否定で大きく続落してきたわけだが、目先の安値トライはすでに同指示ターゲット(倍返し)を達成している。ここから下落が一服し、また再度底打ちのサインを点灯してもおかしくなかろう。

米中対立の激化で豪ドルは受け皿として変動しやすいが、ドルインデックスの急伸はすでに一服する兆しを示しており、豪ドル/米ドルの下落も一服してこよう。主要クロス円における円高圧力は外貨安につられた側面が大きく、同圧力の低下で一旦下げ止まりしやすいタイミングにいると推測される。

さらに、オシレーター系の多くは目先の「売られすぎ」を強く示唆し、その程度は2008年リーマンショック以来と言える。従って、目先の下値追いはかえってリスクが高い。

想定より「深押し」また一時の「底割れ」の事態があっても、あくまで下落波における「クライマックス」と位置づけ、中長期スパンにおける押し目買いの好機、というメインシナリオを維持しておきたい。

とはいえ、底打ちのサインの点灯なしでは、性急な行動も避けたい。前記の理由の通り、近々同サインが点灯される可能性が大きいから、確認してから行動しても遅くないだろう。

反面、仮に底打ちのサインの再点灯があっても、当面73~74円台が厚い抵抗ゾーンと化しているから、何らかの材料なしでは戻りがあっても上値限定の公算だ。しばらく弱含みの展開か。