運用益が非課税のiDeCo・NISAでより大きな複利効果を
前回取り上げた老後2,000万円問題は、国民の高い関心を集めていますね。「毎年3%の利回りで運用する」と書きましたが、実際のところ長引く超低金利の影響で預貯金や債券中心の運用ではなかなか難しいのも現実です。
また、あまり意識されない点ですが、利息や運用益に対しての課税は、長い目で見るとかなり投資成果への影響はあるもの。
ご存知の通り、長期運用の醍醐味の1つとして「複利効果」があります。運用益を投資元本に組み込み、投資していくことで都度、課税後の利益を受け取ってしまうのに比べて長期になればなるほど、大きな差になってきます。
通常、株式、FXや投信などであれば売却時の利益に都度、課税されます。その時に受け取った利益を含めて丸ごと再投資したとしても、当然のことながら税引き後の金額の再投資となるわけです。
この運用益を非課税にする方法があることをご存知でしょうか。それは、iDeCo(個人型確定拠出年金)、NISA(少額投資非課税制度)、つみたてNISAといった運用益が非課税とされる税制優遇のある制度を利用する方法です。
利用しない手はないiDeCoの税制優遇
iDeCoの税制優遇は運用益が非課税になるだけではありません。合わせて3つの税制優遇があります。
1.掛金が全額所得控除
2.運用益が非課税(前述の通り!)
3.給付金を受け取る時の税制優遇措置
iDeCoは自分自身で掛金を決め、拠出して積み立てながら運用していく年金制度です。
1.はその掛金(掛金には限度額があります)の全額を課税所得から控除できるということ。それにより所得税、住民税を安くすることができます。自分で確定申告をしない会社員の方は税金の損得にあまり敏感ではない方もいますが、こうした節税を長年続けることで運用成果に大きな違いが出てきます。
3.の給付金は、iDeCoは年金制度ですから原則60歳以降の受け取りとなります。受け取り方は年金としたり、一時金でまとめたり、併用したりとできますが、いずれの場合も優遇措置があります。具体的には年金として受け取る場合は、公的年金等控除が使え、一時金として受け取る場合は退職所得控除が適用されます。
税制優遇の積み重ねは長期運用の大きなメリットに
確定拠出年金制度が日本に導入された時は企業年金の代替としての役割のため、会社員という立場(それも自身の会社に企業年金のない会社員に限定)でなければ活用できませんでした。
iDeCoができたことで、自営業者であっても、主婦であっても、自分自身の老後に向けた資産形成に税制優遇が使えるようになったのです。
長期運用においては、こうした税制優遇による効果の積み重ねは大きなメリットになります。利用しない手はないですよね。ぜひご自身の投資計画に取り入れることを検討してみてください。