6月後半の中国株は反発し、上昇トレンドへ
6月後半の中国株ですが、反発となり、上海総合指数、香港ハンセン指数は共に100日移動平均線を上に突き抜けるところまで来ています。
状況が大きく変わったのは6月19日(水)、トランプ大統領がツイートで習主席とG20大阪サミットで会談すると発言したことが材料になっています。この発言を受けて、19日(水)の香港ハンセン指数は出来高を伴って+2.6%の大幅高となりました。
その後も堅調に安値を切り上げており、上昇トレンドに入ったと見て良いと思います。中国本土市場も同時期から出来高を大きく増やしています。
上海と深センを合わせた売買代金は、5月からほとんど3,000~4,000億元という薄商いを続けてきたのですが、6月20日、21日と連続して久々に6,000億元台に乗せました。その中で上海総合指数も3,000ポイント台を回復しており、中国本土株も上昇トレンドに入ったと見てよさそうです。
政策への期待感が引き続き株価の支援材料に
堅調な株価の一方で、中国の経済指標は依然としてまちまちです。6月27日(木)に発表された中国の5月の工業部門企業利益は1.1%増と、4月の3.7%減から回復しました。
しかし、6月30日(日)に発表された中国の6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.4と5月と同じで景況感の境目である50を下回り、市場平均予想の49.5も下回っています。内容を見ると新規輸出受注指数が弱くなっていることから、米国の関税圧力が輸出を押さえつけていることがわかります。
おそらく、中国当局が一段の景気刺激策を実施しなければ経済指標の底打ちは見られないのではないかと思われます。しかし、それだけに政策期待が高まるところでもあり、その期待感が引き続き株価の支援材料となりそうです。
ファーウェイの禁輸措置の緩和は株式市場にプラス
一方、市場の注目する米中首脳会談が大阪で6月29日(土)に行われました。結果は追加関税の発動を先送りし、通商協議を再開させることとなりました。中国側は米国の農作物を買う、そして北朝鮮についての協力をするというお土産を持っていき、米国がこれに対応した形です。
今回、サプライズであったのは、米国企業による華為技術(ファーウェイ)への一部の輸出が認められたことでした。これは株式市場にとってプラスの評価となります。もっとも、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は、「華為技術(ファーウェイ)に恩赦が与えられたのではない」とコメントしています。
また、中国との通商協議についても、その再開は「非常に大きな合意」だと発言する一方で、交渉が中断するキッカケとなった、企業への補助金や知的財産権の問題について「これが米中協議の極めて重要なポイントだ。どれだけ時間がかかったとしても予測不可能だ」とコメントしており、本質的な解決にはなお、大きな壁があることを示唆しています。
しかし、完全解決に向けてはまだ相当の時間がかかるとしても、今回の米中首脳会談で交渉が決裂するようなことはなく、米中共に、一応は国内向けに交渉は成功していると言える内容で対話が進んだことは株式市場にとってプラスと言えると思います。
華為技術(ファーウェイ)への禁輸措置の緩和など、市場の予想を超える結果も出たことから、株式市場は上昇トレンドを継続するものと予想されます。ただ、トランプ大統領は既存の対中関税は解除しないともコメントしており、このまま行くと中国経済の一段の悪化は避けられないでしょう。
したがって、短期的には株価の上昇トレンドが続くとして、その後は、通商協議の進展と中国の財政政策がどの程度のものになるのかに焦点は移ってくると思われます。