6月前半の中国株はもみ合い続く

6月前半の中国株は、6月14日(金)の終値ベースで上海総合指数は前月末比で小幅に下落、香港ハンセン指数は小幅に上昇となっています。

上海総合指数はこれまでサポートラインとなっていた100日移動平均線を割り込んで、一段安となりそうな推移でしたが、6月10日(月)~11日(火)に大きく切り返し、俯瞰的に見ると2,900ポイント前後でのもみ合い状態が続いている状況になっています。

【図表1】上海総合
出所:マネックス証券作成

香港ハンセン指数も6月10日(月)~11日(火)に大きく上昇したのですが、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に対する抗議活動が大規模となったことが嫌気され、株価は反落となってしまいました。

ニュースでも報道されていますが、香港のデモはその後も拡大しており、 16日(日)の香港では、林鄭月娥(りんてい げつが)行政長官の辞任を求めて200万人もの住民が抗議デモに参加し、主要道路や脇道を埋め尽くしたとされています。

6月10日(月)~11日(火)に大きく上昇した理由は、トランプ大統領がメキシコへの関税発動計画を「無期限に停止」したことから世界的な株高になったことと、6月10日(月)に発表された中国の5月の輸出が前年同月比で1.1%増と、市場平均予想の3.9%減を上回ったことによるものです。ただし、輸入は8.5%減と市場平均予想の3.5%減を下回りました。

中国は一段の景気刺激策を行う必要が

もっとも、中国の経済指標は強弱が入り交じるような感じで、全体的には景気のスローダウンを示唆しています。

6月3日(月)に発表となった5月のCaixin中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は、50.2と市場平均予想の50.0をわずかに上回ったのですが、6月14日(金)に発表された5月の鉱工業生産は5.0%増と市場予想の5.4%増を下回り、固定資産投資も5.6%増と市場予想の6.1%増を下回っています。

中国の経済指標を見る限り、これまでに行われてきた景気刺激策や金融緩和の効果は米中通商問題を懸念した投資の減少などによって下押しされてしまっています。中国は一段の景気刺激策を行う必要があるでしょう。

実際のところ、経済政策を担当する劉鶴副首相は6月13日(木)に中国当局は景気刺激策を強化し、十分な流動性を保つ必要があるとの見解を示しました。

今後も様々な景気刺激策や金融緩和策は出てくると思いますが、やはり根本的な景気浮揚と株価上昇には米中通商協議を何らかの形で妥結する必要があるでしょう。

ディフェンシブな姿勢を取りながら、米中対立の行方を見極める

一方、米国でも変化が出ています。6月13日(木)にはウォルマートやターゲットなど、600社以上の米企業が、中国との関税問題を終わらせるようドナルド・トランプ米大統領に要求したとあります。そしてトランプ大統領としても、来年の大統領選挙に向けて秋までには何らかの形で決着を付け有権者にアピールしたいところです。

このように考えていくと投資の方針としては、やはりこれまで書いてきた通り、6~10月は米中問題がどうなるのかを見極めながら、株価が大きく調整する場面があるかどうかをじっくりと待ち、もしも株価が大きく下がるようなところがあれば、状況を見ながら優良株を少しずつ拾っていくのが良いと思います。

政治的なやりとりは予想をすることができませんし、毎年5~10月までは株価が下がりやすい期間でもあります。ディフェンシブな姿勢を取りながら、じっくりとチャンスを待ちたいところです。