前回のコラム「FXどうやって売買するの?」で、FXにおいて「外貨を買う」あるいは「外貨を売る」際の注文の種類について解説しました。「決済する」ことで1回の取引は完了します。これを、ポジションを「手仕舞う」とも言います。外貨を買った場合はこれを売ることで、外貨を売った場合はこれを買い戻すことで、利益または損失が確定します。

今回は、私が利用しているFX PLUSで、よく使われる決済注文の種類についてご説明します。

「今すぐ」決済したい時

成行注文

今すぐに決済したいという時は「成行注文」を使います。

成行注文は、決済レートを指定することはできません。指定できるのは、決済する通貨ペアとポジション数量だけ。よって、価格変動が大きくなっている時には、思わぬ不利なレートで決済されてしまうこともあります。FX PLUSでは、成行注文を使うことができるのはスマートフォンのアプリと携帯サイトのみです。

ファスト注文

FX PLUSで最も汎用的な注文方法です。成行注文との違いは「取引画面内で表示されているレートで即座に発注」できる点にあります。価格変動が大きい時は「スリッページ」(レートが滑るの意)といって指定したレートと異なるレートで約定するケースもありますが、マネックス証券のファスト注文では、スリッページの許容可否やスリッページの許容幅をあらかじめ設定することができます。市場実勢に、より近い価格でのお取引が可能な注文です。

あらかじめ決めたレートで決済したい時

指値注文

決済における指値注文とは、主に「利食い=利益確定」です。

米ドル/円相場が100円の時に買った米ドルを105円まで上昇したら決済し5円幅の利益を手にしたいという時に、事前に105円で手仕舞いをする「指値」をしておきます。

逆指値注文=ストップ注文

決済における逆指値注文は、主に「損切り=損失確定」です。

ポジションが思惑と外れて逆方向に動いた場合は、損失を確定させてでもポジションを手仕舞うことが大切です。大切な資金を減らさないために、ポジションを持ったら逆指値注文を入れることをおすすめします。

ポジションを持つときには、そのポジションがいくらに到達したら利食うのか、どこまで逆方向に行ったら損切りするのかを明確にしておきましょう。少なくともポジションを作ったらすぐに「逆指値」注文を入れることで、損失額を限定しておくことが重要だと考えます。

その他、IFD注文、OCO注文などの組み合わせ注文を活用することで、リスクをコントロールすることもできます。

リスクの高い取引をしていると…

ロスカットルール

ストップ注文を置かずに損失を抱えたまま放置すると、どんどん口座の余裕資金は減っていきます。発生損失が、口座に預けた資金(証拠金)の額を超えてマイナスにならないように強制的に損切り決済が執行される仕組みがロスカットです。

どのようなところまで損失が拡大するとロスカットされてしまうのか。

このルールを理解する上で大切なのが、「証拠金維持率」です。取引に使用する必要証拠金に対し、口座資金全体にどの程度余裕があるかを示すものです。証拠金維持率が高いほど取引のリスクは低くなります。ロスカットはFX業者ごとに決められている証拠金維持率の基準を下回ると発動します。

証拠金維持率は簡単に計算できます。そのために覚えておきたい言葉の整理をしましょう。

・預入証拠金
取引口座に預入れている証拠金額

・評価証拠金(有効証拠金)
預入証拠金に、取引しているポジションの評価損益と予定されている資金変動額等を加減した証拠金額。ポジションの利益が大きくなれば評価証拠金が大きくなり、損失が大きくなれば評価証拠金は小さくなります。これが証拠金維持率に影響してきます。

・建玉必要証拠金
新規にポジションを作るときに必要となる資金。
※FX PLUSで、1000通貨の米ドル/円に必要な証拠金は4,480円です。(1米ドル=112円の場合)

・注文必要証拠金
注文中で取引が成立していない新規の注文に必要な証拠金の合計額。

「証拠金維持率」は
(実効証拠金(評価証拠金 - 注文必要証拠金)÷ 建玉必要証拠金)×100
で計算できます。

実効証拠金に対して、取引に使っている資金がどれほどのボリュームかが証拠金維持率です。

FX PLUSでは証拠金維持率が、100%を下回ると新規注文ができなくなります。期限までに証拠金維持率が100%を回復しない場合、強制全決済が執行されます。

FXには、ロスカットルールがあることで、基本的には元金以上の損失がでないように取引できる仕組みがあります。しかしながら、相場変動があまりにも大きい場合には本来のロスカット水準から大きく乖離したレートで執行されることもあるので、実際には元金以上の損失が生じることもあります。

そうした事態を避けるためにも、自身でポジションの損失を小さいうちに確定させ、レバレッジも高くしない(口座の余裕資金に対して使用する証拠金を大きくしない)ことが重要です。

※FX PLUSではロスカット率の初期設定値が100%になっています。ただしこれは自身で50%・60%・70%に変更することも可能です。