財政政策と米中通商協議の解決に期待
中国株は政策期待と米中通商協議の解決期待を背景に強い相場展開が続いています。3月5日からは第13期全国人民代表大会(全人代)が開かれました。閉幕後の記者会見で李克強首相は経済成長を下支えするため、大型減税や新規投資の財源確保など財政政策の大盤振る舞いを表明しています。
具体的には、製造業や運用業、建設部門を支援するために付加価値税(増値税)の減税を含めた2兆元規模の大型減税や手数料削減を提示しています。ちなみに中国は2018年末にも1兆3000億元規模の減税と手数料削減を発表しているために、新しく発表された分は、これに上乗せされる形となり、中国経済の大きな下支えとなりそうです。
また、米中通商協議ですが、期待されていた3月中の首脳会談は4月以降に延期されることになりました。国営新華社通信は、ライトハイザー米通商代表部代表とムニューシン米財務長官が中国の劉鶴副首相と電話会談を行うとたびたび報道しています。3月15日の報道では3回目の電話会談で大きな進展があったと報道するなど、徐々に進展している様子です。
前述の全人代でも、米国から厳しい指摘を受けている「中国製造2025」というキーワードを使わないなど、米国への配慮が見られます。
やはり、これまでも指摘してきましたが、中国・米国双方ともに貿易問題が悪化すると自国経済への悪影響は避けられないということを認識している様子です。
双方がある程度の譲歩をした上で、決着がつく可能性が高いものと思われます。もちろん、通商協議に解決が見られれば、前述のとおり財政投資を積極的に拡大している中国株は一段の上昇が期待できると思います。
意外に底堅く、強い相場となることが示唆されている!?
中国の足元の経済指標は弱い基調が続いています。たとえば、3月8日に発表された2月の輸出は前年同月比で-20.7%という大幅なマイナスになり、市場予想の-5.0%や1月実績の9.0%増を大きく下回りました。また、3月14日に発表された1~2月の鉱工業生産は、前年同期比5.3%増と予想の5.6%増を下回るものでした。
しかしながら、株価はこれに反応して少し下がることはあってもすぐに戻しています。中国経済がスローダウンしてきていることは、既に市場に広く認識されているために反応は限定的です。むしろ、昨年下げ過ぎた修正と、中国の政策期待や米中通商協議の進展で株価が底を打つとの期待感が株価を強く保っているのです。
一方、これは中国以外もそうですが、世界的な株価のリズムも、非常に良い形になっていると思います。
たとえば先週を見ても、米中の首脳会談が4月に延期されると報道されたほか、英国の議会でブレグジットを巡る混迷が浮き彫りとなってきており、米中ともに経済データも弱いものが続きました。
しかし、株価はこれらの悪材料に首を振って大きく下げることなく、むしろ粘り強く上昇してきています。また、全般的に言えることですが、主力株がまだ十分回復していないなかでも、幅広い銘柄が回復して指数を押し上げているような印象があります。
更に、株価と出来高の具合を見ても、上昇するときは出来高を増して上昇し、下落するときは出来高を縮小して下落しています。これらは全て上昇トレンド時、特有のサインと言え、今後の株式市場が意外に底堅く、強い相場になることが示唆されているように思います。