脳は7年周期で「飽きる」

今話題の本、『妻のトリセツ』の著者で人工知能研究者である黒川伊保子氏によれば、1999年からの14年間は「自己愛の時代」だそうです(黒川氏は感性トレンドや流行リサーチを行う会社を経営されています)。

「自己愛の時代」とは、「自分探し」や「自分のライフスタイル」「自分の目標」を求める時代なんだとか。この時期、FPという職業が認知され始めた時期と一致しています。プランニングするときに「自身の目標をライフイベントとして記入しましょう」というところからスタートする点も、ちょうど時代の流れに合致していると言えますね。

黒川氏によると脳は7年周期で「飽きる」性質があり、大衆が興味をもつ現象もその周期で変わり、28年で真逆になるそう。2013年から“「本質」「正義」という判断基準を求める時代”に変化してきて、2027年に向けて世間では「尖がり」と「直線」を増やしているそうです。

米国や英国の動きを見ていると、確かに直線的に尖った方針に突き進んでいるように見えますが、その「正義」の偏り方にはがっかりしてしまいますし、不安を感じる一方です。

景気の流れの大局を掴むことは非常に重要

時代の流れというのは大きなうねりがあります。ご承知の通り、景気循環も同様で、世の中の考え方、感性、そして景気、こうしたものが相まって時代のうねり(=トレンド)となっているわけですが、どの時代生まれてくるかは残念ながら選ぶことはできません。

学齢期に詰め込み教育だったのか、ゆとり世代に当たったのか、就職期に売り手市場に当たったのか、就職氷河期だったのか…それらによって大きく人生が左右されるものの、自身で選びようはないのです。

だからこそ自分自身で選べるライフイベントについては、「○歳に結婚」「〇歳で住宅購入」といった世の中の平均や世代の違う人の言葉や慣習に縛られる必要はありません。もちろん、出産などは時間的に制限がありますが、大きな流れを見据えての職業選択であったり、不動産の購入タイミングなど世相を見ることは大いにプラスになるでしょう。

また、「社会人になったら保険くらいには入るべき」や「子どもが生まれたらすぐに学資保険」といったことが当然とされていた時期もありましたが、金融商品には金利が関係し、つまり景気状況によって長期商品は良し悪しが変わります。

当然のことながら、相場の動きも連動しますから、株式などへの長期投資をする際にはそうした景気の流れの大局を掴むことは非常に重要です。

学齢期や就職期に運よく良いトレンドだった人も、運悪く外れてしまった人も、長い人生の中では時代のうねりの上昇も下降も何度か経験するはずです(56年、112年という単位のうねりになるとそうはいきませんが…)。

そうした流れに任せてしまう、というのも1つの生き方だとは思いますが、世の中の動きを捉え、将来のトレンドを予測した上で、自身のライフプランやマネープランを構築することによって、より効果的にそれらを実現できるようになると思います。