英ポンド/円 (142.50~153.00) 3月14日~3月20日まで

アナリシス:

皆さん、こんにちは! 今週のポンドは上げ下げが激しい動きとなりましたが、本日早朝に終えた英国議会では合意なき離脱の是非を問われました。

詳しく見ると、英下院(定数650)は13日、合意なしで欧州連合(EU)を離脱しないとする政府動議を賛成321票、反対278票で可決。これを受けて、14日にはEUに離脱延期を求める動議の採決が行われます。

下院で離脱延期が可決され、EU加盟27ヶ国の全てから同意が得られれば、英国は目先の「合意なき離脱」をひとまず回避することとなります。

また、政府動議の原案は「3月29日に合意なしでEUを離脱しない」と日付を特定したものでした。しかし、最大野党・労働党のイベット・クーパー議員は「いかなる場合も」合意なしでEUを離脱することに反対するという内容の修正案を提出。下院がこれを賛成312票、反対308票の僅差で可決したため、政府案はこの修正内容を加えた上での可決となりました。

そして前日の下院では、EUとの合意が得られた修正案も否決され、3月29日の離脱は極めて難しくなったといえます。

メイ首相は前日夜までEU側との交渉を続け、アイルランド国境問題の「バックストップ(安全策)」を巡る変更を取り付けた上で、離脱案を支持するかブレグジットが撤回されるリスクをとるかを迫りました。

しかし、バックストップに恒久的に縛られることを懸念する議員たちを納得させるには至りませんでした。2度目の大敗を喫し、メイ首相のブレグジット戦略や首相としての立場は危ういものになっています。

合意なき離脱を拒否したことにより、本日14日に離脱延期の是非を問う採決が実施されます。これが可決された場合、英政府はEUに離脱の延期を申し入れることになります。ただ、EUがどの程度の期間延長に応じるかは不透明であり、また離脱期限が延期されてもEU側はもはや離脱協定の再交渉には一切応じない姿勢を示しています。

こうした状況から、今週のポンドはまだまだ上下の動きが激しくなることが想定できます。

それでは、月足チャートからです。

【図表1】英ポンド/円(月足)
出所:筆者作成

月足トレンドレス中段。このまま+2σ方向まで上昇するかどうかの場面です。
月足ベースでの下げ余地は−2σ付近までと見ます。

続いて、週足チャートです。

【図表2】英ポンド/円(週足)
出所:筆者作成

トレンドレス上段。早朝の合意なき離脱はしないことを受けて離脱延期の可能性が高まり、一気に上段まで再上昇しました。次のレジスタンスは149.50円付近となります。

最後に、日足チャートです。

【図表3】英ポンド/円(日足)
出所:筆者作成

直近の高値を若干更新しましたが、このままアップトレンドとなるか、トレンドレス内に戻るかの場面。今晩下院で行われる延期についての裁決によっては、一気にレジスタンスを上抜けし、トレンド発生となる可能性もあるポイントです。

向こう1週間の重要指標です。

14日(木)
23:00 米・新築住宅販売件数

15日(金)
未明 日・政策金利発表
15:30 日・黒田日銀総裁定例記者会見
19:00 EUR・消費者物価指数

20日(水)
8:50 日・日銀金融政策決定会合議事要旨

21日(木)
3:00 米・政策金利発表
3:30 米・パウエルFRB議長定例記者会見
21:00 英・BOE金利発表、英・BOE資産買取プログラム規模、BOE政策委員会議事要旨

以上の分析から、エントリーポイントとしては以下のとおりです。

予想レンジ:142.50~153.00

メインストラテジー:

買いをするなら、
・1時間足アップトレンドMA、もしくはミドル反発順張りを根拠にエントリー
(想定価格147.00円~147.40円)
・148.30円を上にブレイクしたら、短期足を使って押し目でエントリー
・142.50円~143.00円の日足トレンドレス下段逆張りを根拠にエントリー

売りをするなら、
・149.30円~149.50円の日足+2σ越えからのトレンド転換を根拠にエントリー
・149.50円~150.00円の週足トレンドレス上段逆張りを根拠にエントリー