上海総合指数が1年ぶりに200日移動平均線を上抜ける

米中通商問題への懸念後退や中国政府による矢継ぎ早の景気刺激策の発表により、中国株は急騰し、上昇基調が鮮明となってきています。上海総合指数は2月22日(金)に約1年ぶりに200日移動平均線を株価が上に突き抜けてきました。

【図表】上海総合指数(日足)
出所:マネックス証券作成

上海総合指数は2018年2月の急落で200日移動平均線を株価が下に突き抜けると、3月には一旦200日移動平均線まで株価は戻したものの、そこではじき返され、延々と下落トレンドを続け、株価は200日移動平均線を下回ったまま推移してきたのでした。

その意味で、200日移動平均線を株価が上に突き抜けてきたことは重要な意味を持つと思います。そして翌週、2月25日(月)の上海総合指数は前日比5.6%高と急騰しています。

ここで注目したいのは、株価の上昇が強烈な売買代金の増加を伴っている点です。もう少し過去の株価推移を振り返りますと、上海総合指数は2月13日(水)に3ヶ月ぶりに2,700ポイント台を回復したのですが、その日の上海・深センを合わせた売買代金は、3ヶ月ぶりに4,000億元を超えていたのでした。ここが力強い上昇の起点となります。

そして2月18日(月)に上海総合指数が+2.7%と大幅高したときには売買代金を5,500億元近くまでに一段と膨らませ、さらに200日線を回復した際には売買代金は6,000億元を超えました。

その後の25日に+5.6%と急騰した際は1兆元を超える大商いとなり、節目を抜けるごとにより多くの商いを集めている様子が鮮明です。過去も中国株が大きく上昇する始まりの時期には、必ずこうした大商いを伴った力強い上昇が連続的に生じていました。

3月は米中通商協議の進展で一段高か!?

その他にも中国株には好材料が続きます。まず、3月1日(月)には世界的株価指数の権威であるMSCI社が、中国本土A株の組入れ比率を、これまでの5%から、段階的に20%に引き上げていくと発表しました。

かねてからこれは材料視されてきましたが、正式発表された3月1日(金)の上海総合指数は大幅高で、高値引けしています。これは今後の資金流入期待につながり、株価を支援する材料となるでしょう。

さらに3月5日(火)からは、重要政策を決める全国人民代表大会(全人代)が開幕します。足元の中国経済はスローダウンしているところですので、更なるインフラ投資拡大や減税、消費刺激策などが打ち出される可能性があります。

そして肝心の米中通商協議についても明るい兆しがみられています。3月4日(月)の報道によると、米中通商協議に詳しい関係者2人が米中両国は合意に関して最終段階に入っており、合意の一環として米国が昨年から課している対中関税の全てか大半が撤回される可能性が強いとコメントしています。

もちろん、通商協議の結果については、まだまだ先行きに予断は許さないものの、これが実現すれば、中国株はさらに一段上を目指せるところだと思います。上海総合指数は年初来では米国株や日本株より大きく上昇しているものの、昨年はそれ以上に大きく下落してきましたので、米国や日本と比較して、上値の余地はまだまだ大きく残されていると思います。