米ドル/円 日足

週間予想レンジ(3/4週):111.00~112.50

メインストラテジー:レンジ取引

・フラッシュ・クラッシュに対する反動はなお続くが、終焉に近い
・テクニカル要素主導なので、200日線乗せに成功したところを無視できない
・112円台には抵抗密集、トライがあっても一本調子のブレイクはなかろう

【図表】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は大幅続伸、一気に200日線のブレイクを果たし112円関門をトライ、いわゆるショート筋の「踏み上げ」を促した模様。度々指摘してきたように、年初のフラッシュ・クラッシュは「正当化」できない値動きだったため、足元続くドルの反騰、同クラッシュに対する反動、という意味合いでも理解されやすいかと思う。

昨年年末高値をすでに回復している以上、フラッシュ・クラッシュに対する反動も目標達成感あり、引き続きテクニカル要素主導の相場になりやすいかと思われる。

もっとも、2月15日安値110.25円は重要なサポートであったことは既述の通りである。2月27日の陽線、ザラ場にて一旦同安値に接近してから高く大引け、強気「リバーサル」のサインに近い形で続伸のサインを点灯したところが大きかった。

2月18日以来の安値を一旦更新してから高く大引けしたため、「フォールス・ブレイクアウト」のサインでも数え、翌日(28日)の高値更新や200日線ブレイクに繋がった。

注意していただきたいのは、3月1日の大陽線、安値もほぼ200日線前後に留まり、目先同線の111.35円前後が一転してサポートになる可能性を示唆。従来のシナリオ、即ち年初のフラッシュ・クラッシュに対する反動高を当然視しながら、一本調子に進むとは想定しにくい、といったロジックを維持する。

だが、200日線がサポートゾーンになれば、頭打ちがあってもしばらく高値圏での変動に留まる可能性も無視できない。

反面、年初来のリバウンドはほぼ一本調子に継続された。また前記のように112円関門の打診をもって目標達成感は強いため、抵抗密集区域である112円台前半~同後半の高値ゾーンを一旦トライがあっても、本格的なブレイクは容易ではなかろう。

年初からの切り返しをメイン変動と見なす場合でも、何等かの形でスピード調整を図る公算が大きいから、目先円売り継続でも一旦テクニカル的な限界を探る段階である。

米FOMC政策や議事録のリリースがあっても、円売りが継続されることは相場の内部構造を示唆。換言すれば、年初来のドル高・円安は年初のフラッシュ・クラッシュに対する反動のみではなく、円売り自体が推進波として継続される公算が大きい。

従って、仮に近々頭打ちが確認され、また反落が先行されても、あくまで修正波動と見なし、米ドル高/円安の構造を否定できない上、押しの程度も限定されるでしょう。目先では、110円台後半~111円台前半はサポートゾーンと見なし、110.25円割れなしでは反落波の本格化に繋がらないとみる。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ(3/4週):77.00~79.50            

メインストラテジー:戻り売り

・年初のクラッシュに対する反動、一旦頭打ちしたか、これから頭打ちへ
・80円心理大台を回復できず、切り返しのモメンタムが低下、早期回復の有無は焦点
・利下げ観測浮上、豪ドル/米ドル次第の側面

【図表】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先々週に続き先週も続伸したものの、小幅に留まり、モメンタムの低下を示唆。2月5日の高値79.85円を超えられずにいるから、週足では先々週と「インサイド」のサインを灯し、抵抗ゾーンの厚さを示唆している。

既述のように80円心理大台を目前に豪ドルの失速は当面頭打ちを示し、米ドル全面高のなか対米ドルの軟調が対円の売り圧力として継続する。ここから続伸よりも反落の確率が高く、2月21日の大陰線、再度頭打ちを確認した。また2月5日日の「ダブル・トップ」を形成した疑いあり、目先なお警戒しておきたい。

先週の値動きは、2月25日までの続伸で一旦上値ブレイクの可能性を示唆したものの、その後の反落で失速、3月1日の切り返しがあっても力不足の印象が強かった。

もっとも、米ドル/円は先週後半にて切り返しの高値を更新し続けたことに鑑み、豪ドル/円のモメンタム低下は一層鮮明となり、豪ドル/米ドルの下落につられた側面が大きかった。ゆえに、これからも豪ドル/米ドル次第の公算。

豪州の年内利下げの推測が浮上している以上、油断できないだろう。テクニカルの視点では、早期80円心理大台の回復なしでは、年初のフラッシュ・クラッシュに対する反動はすでに一服したか、これから一服される見通し。

重要なサインとして、やはり2月20日大陰線の意味合いを強調しておきたい。同陰線は「弱気リバーサル」のサインを点灯したので、早期同大陰線の意味合いを「否定」、即ち高値更新しないと、売り圧力の増加を避けられない。

というのは、2月6日の大陰線に関する見方と同様、2月21日の大陰線は上値抵抗や売り圧力を示している。また日足では弱気「リバーサル」のサインを点灯していたので、2月6日大陰線の意味合いを一段と証左したと言える。この場合、当然のように前記「ダブル・トップ」の可能性が警戒され、また当面のレンジを規定したと見なす。

従って、早期高値更新なしでは上値重い想定は不変。豪ドルの頭打ちは主要外貨のなかで先行された値動きとして注目され、豪ドル対米ドルの先行性は一段と鮮明になってこよう。77.50円~79.50円を当面のメイン変動レンジとみるが、下放れの公算は大きく、また下放れの場合は前回提示したフォーメーションの成立につながる。

この場合、再度77.42円割れがあれば、日足では「ベッド&ショルダーズ・トップ」のフォーメーションを形成、一段反落余地を拓くかと推測される。このような想定、前記「ダブル・トップ」の想定と矛盾しないから、もう1つの視点として据え置きたい。

仮に前記推測が成立される場合、概ね75円台半ばの下値余地を測られる。しかし反落自体はあくまで修正的な値動きとみられ、所謂「二番底」の形成と位置づけられる。実際、前記フォーメーションの成立があった場合は77円関門以下の下値余地を拓くが、深押しがあっても75円台に留まるだろう。あくまで「二番底」の形成と想定、年初安値を更新しない、といったメインシナリオは維持される。

反面、早期高値更新、また80円心理大台の打診があれば、切り返しの先行で200日線の80.70円の打診もあり得る。この場合、2月21日大陰線自体が「ダマシ」となり、高値ブレイク後、ショート筋を「踏み上げ」する土台として化す公算も大きいが、目先あくまでサプライスシナリオとして保留する。