今日は立春です。紀貫之が「春立ける日」に詠んだ、古今集冒頭の春歌二首目が、私は好きです。

「袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ」-凍っていた水が、立春の風が溶かしていく。凍っていた個体が、風という動きのあるものに触られて、水という液体に変わっていく。そしてそれは、「春」の語感からか、キラキラとした明るさまでイメージさせる。

氷、春の風、溶ける水、そして光。冬から春への再起動、躍動、希望を、言葉とヴィジュアルの中に思いっきり解き放っている歌です。私たちが住む日本には四季があって、本当に良かったと思います。そして和歌のように、季節をひとつひとつ大切に愛でて観賞する文化があり、素晴らしいことだと思います。

立春は、この歌を詠むに限ります。そして躍動する、明るい季節が来ていることを、存分に感じたいですね!