中国の景気刺激策や株価対策が評価されている

中国株は堅調な上昇が続いています。2月1日(金)終値時点で、2018年末よりも上海総合指数は+5.0%、香港ハンセン指数は+8.1%、それぞれ上昇しています。上海総合指数は100日移動平均線を、香港ハンセン指数は遂に200日移動平均線を、それぞれ株価が上に突き抜けてきており、回復基調鮮明となっています。

ちなみにロシア、ブラジルなど新興国の株価指数も今年は強く、ここまでのところ、2018年の裏返しのような相場状況となっており、行き過ぎて大きく下がっていた分が修正されている様子です。

2018年に懸念されたように、中国経済は確かに減速しています。たとえば、1月のCaixin中国製造業景況感指数(PMI)は48.3と予想の49.6、12月実績の49.7を共に下回り、景況感の境目である50を割り込み続けていますが、あまり材料視はされていません。

つまり、中国経済の減速という材料は既に株式市場に織り込まれており、市場は次の材料を模索しているところだと思います。その中で、中国が次々に景気刺激策や株価対策を打ち出していることが評価されているわけです。

具体的には、金融緩和(銀行の預金準備率引き下げや銀行による永久債発行を推し進め、保険会社に投資を認可=実質的な量的緩和につながる)や財政投資(減税、インフラ投資加速、消費刺激策など)を行って、さらに保険会社に優良株式への投資奨励を行ったり、外資規制の緩和、追加証拠金(追い証)発生基準の廃止などの株式投資促進策も力強く打ち出しています。

中国は共産党の一党支配ではありますが、その分、景気のアクセルやブレーキを一気に踏みこめるという強みがあり、1月の中国の矢継ぎ早の政策決定はその力強さを感じるところです。

旧正月明けの力強い上昇に期待

一方、米中通商協議についても、決定的な結果はまだ出ていませんが、堅調に事態は進展している様子です。やはり米中共にこの問題を放置しておくことは自国経済や株価に悪影響をおよぼすとわかっているために、以前よりも歩み寄りの姿勢が感じられます。

米連邦検察当局が華為技術(ファーウェイ)と同社の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)を起訴するなどの問題もあり、引き続き難航するのではないかとの懸念も残ります。しかし、1月30~31日に米国で行われた米中閣僚会議について、中国の国営新華社通信は「具体的で率直な実りのある」協議を行ったと報道。トランプ大統領も「近い将来」習近平国家主席と直接会談するまで、最終的な決着はないとの認識を示したものの、順調に進展しているとコメントしています。

さらに米国FRBの金融政策に対する姿勢が今年に入ってハト派寄りとなっていることも追い風となっています。世界的な株式市場にとってプラスであることはもちろん、米国で経済に対して緩和的な金融政策が採られると、新興国に資金が流入しやすくなり、これはもちろん中国株にとってプラスです。

中国は今週、旧正月の連休を迎え、香港市場は2月5日(火)~7日(木)が休場、本土市場は4日(月)~8日(金)が休場となります。通常、旧正月前は旧正月の資金調達や長期連休前の手仕舞い売りが先行しやすく、中国株は需給的に下落しやすいのですが、中国本土市場は旧正月前の最終売買日である2月1日(金)も力強い推移となっています。

旧正月は消費が盛り上がる事もあり、休み明け後の中国株は内需関連や政策期待関連を中心として力強く上昇していく事が期待できると思います。