米国株が上昇するために、必要な調整

先週1週間(8月31日~9月4日まで)でダウは1.82%下落、S&P500は2.31%の下げ、ナスダック総合は3.27%の下げで終わっています。

久しぶりの下落となった訳ですが、きっかけは木曜日からのテクノロジーセクター主導で、突然マーケットが下がり始めました。下落に際し特に何か大きな理由があったかと言うと、特にはみあたりません。しいて言うならば、前回のレポートでも述べた通りマーケット全体的に、長い間調整なく上がり続けてきたためのテクニカルな調整だと思います。このような調整は、これから長期的に米国株が上昇するためには仕方ないことであり、とても健全なことです。

金曜日(9月4日)にでたニュースとしては、ソフトバンクが、先月GAFA系の銘柄等に約40億ドル相当分のOTM(アウト・オブ・ザ・マネー)のコールオプションを買っていたというニュースを英国のファイナンシャル・タイムズが報じました。彼らが既に保有しているGAFA系ポートフォリオに、追加でかなりのレバレッジをかけていることですが、マーケットではそれに関わる何らかの動きがあったのかもしれません。

ネガティブ・サプライズとなったS&P500指数の銘柄入れ替え

S&P500の銘柄入れ替え

先週金曜日(9月4日)の引け後にS&P500種指数の銘柄入れ替えが発表されました。市場にはテスラ(TSLA)が指数に採用されるだろうという強い期待感がありましたが、結局採用されずネガティブ・サプライズとなりました。代わりに、インデックスに採用されたのは、オンライン・マーケットプレイスのETSY(ETSY)、産業用オートメーション、ロボットに特化している、テラダイン(TER), 医療関連会社の カタレント(CTLT)の三銘柄です。その一方、指数から退場したのが、H&Rブロック(HRB), コールズ(KSS), コッティ(COTY)の三銘柄です。

ウォール街のアナリスト達は、テスラがS&P500に採用されるのを当たり前にとらえていたのですが、マーケットで当たり前に思われていることは、実は起きないというある意味マーケットの現実を再度考えさせられたイベントでした。

テスラが指数に採用されなかった理由として考えられること

採用されなかった理由は、ひょっとすると、先週同社が発表した50億ドル相当の新株発行のニュースが、S&P500種指数の入れ替えを決定する委員会が、今回指数に採用しないという判断をしたからかもしれません。つまり、このような資金調達のニュースがでた直ぐ後に同株価指数に採用し、株価が上がると、まるで、意図的にその資金調達を助けたような見方をされるリスクがあるのではないかと思いました。

また、50億ドル程度の新株は同社の発行済み株式数の1%を超えます。同委員会としては、この株式を発行してから指数に加えたかったのかもしれません。S&PDJ社のスポークスマンは、「S&P500指数について、通常四半期ベースで調整するが、構成銘柄は頻繁に変更される可能性がある」と今回の発表後にインタビューに答えています。

このことからも、今後テスラがS&P500に絶対採用されないという事ではないと考えられます。

テスラのこれからのカタリストは、9月22日に予定されていますテスラのバッテリー・デイです。バッテリーというのは、通常EV車のコストの中で、最も値段が高いパートと言われています。バッテリーのコストは毎年23%下がってきているということですが、
このバッテリー・デイでは、同社のバッテリー製造のキャパシティや、バッテリーの信頼性などについてポジティブなニュースがでるのではないかと見ています。

ISM製造業指数と非製造業指数の結果からわかること

先週8月のISM製造業指数と非製造業指数が発表されましたが、それぞれ56.8、56.9と引き続き、50を超える強い数字となっています。今まで株価が強かったのは、このような数字の裏付けがあってのことだと思います。

米大統領選を予測:日本の個人投資家においては、トランプ氏支持が81%

私の個人のツイッターアカウントで、週末に「誰に大統領になってもらいたいですか?」というアンケートを行いました。1,167名の皆さんに回答いただきましたが、81%の方々が「トランプ氏が良い」と回答し、一方、「バイデン氏が良い」という方は19%にとどまり、圧倒的にトランプ氏支持の方が多いという興味深い結果となりました。
これは、日本の個人投資家の中では、多くの皆さんが「トランプ大統領の方が、米国株が上がる」と考えているのではないかと思いました。

以前のレポートで触れさせていただいたと思うのですが、実は、歴史的を振り返りますと、共和党大統領の4年間より、民主党の4年間の方が、S&P500のパフォーマンスが良かったという事実があります。
詳しくは、また別の機会に触れさせて頂きたいと思いますが、今回このところバイデンさんに人気が高まってきた局面で米国株が上昇してきたというのは、こういった理由もあるのではないかと思っています。

米国では今週月曜日は米国のレイバー・ディ(労働者の日)の祭日で、マーケットは休場です。