ブレグジットの影響は年明け以降も尾を引く

ポンドとユーロがやけに弱いこともあり、なおもドルが底堅く推移するといった状況が続いています。英国で欧州連合(EU)離脱案が議会で承認されるためのハードルが高まっていることを受け、市場では「合意なき離脱」という最悪の事態に陥る可能性を警戒するムードが一層濃厚になってきました。

結果、ポンドの上値は重いままの状態が続き、先週10日に1.2700ドルの重要な節目をあっさりと下抜けたポンド/米ドルは、足下で一旦持ち直そうとする動きも見られるものの、目下は以前の下値サポート水準であった1.2700ドルが逆に上値抵抗として意識される状況になっています。

あらかじめブレグジットの期限というものが決められている以上、その期限ギリギリまでは適当な落としどころも見出しにくいというのが実情であると思われ、これは年明け以降もしばらく尾を引くものと見ておかざるを得ません。

「最終的には期限の延期というオプションもあり得る」と見る向きもあるようですが、延期したところで最大の懸案であるアイルランド国境問題がそれで片付くということでもないでしょう。

延期があり得るとして、それとセットになり得るのは、おそらく国民投票の再実施といったところでしょうか。もちろん、それもかなりの時間がかかることであり、その間にポンド/米ドルは2017年1月につけた1.2000ドル割れの水準を試す可能性も十分にある得るものと見ます。

ちなみに、ポンド/米ドルの上値については、ひとつに31週移動平均線(31週線)が重要であると考えられ、仮に同水準までの戻りを試す場面があれば、そこは戻り売りを検討するのも一考であると考えます。

依然米ドル強含みの展開に

一方の、ユーロについても足下では域内のさえない経済指標・景気データが相次いで出てきており、少なくともユーロ/米ドルを積極的に一段上の水準まで買い上げるといったムードではありません。実際、先週末14日に発表された独・仏とユーロ圏の「購買担当者景気指数(PMI)」はあまり思わしくない結果となりました。

ことに燃料税引き上げに対する抗議に端を発した反政府デモ「黄色いベスト運動」が打撃になったと思われるフランスの12月総合PMI速報値は49.3と、事前の予想(54)を大きく下回ったばかりか、拡大と縮小の境目である50をも下回る厳しさでした。

なお、足下のユーロ/米ドルは21日移動平均線(21日線)との攻防を続けており、先週あたりからは一目均衡表の日足「雲」の上からのプレッシャーも感じざるを得ないといった状況にあります。

また、5月以降の月足ロウソクが一目均衡表の月足「雲」下限をトレースするように推移していることも見逃せない事実で、この「雲」下限は来年4月頃まで水準を切り下げることにも要注意と言えるでしょう。ちなみに、来年4月から数ヶ月は月足「雲」下限の水準が1.1000ドルをも割り込むこととなります。

今しばらくは、やはりポンドやユーロの上値が重い状態が続くと考えざるを得ず、その意味では依然米ドル強含みの展開ということになるでしょう。米ドル高&円高で動きにくい米ドル/円ではありますが、10月4日に114.55円という年初来高値をつけた以降に形成されているミニ・トライアングルを上放れる可能性はいまだあると見られます。目先は21日線の下値サポートを確認しつつ、10月4日高値や11月12日高値を結ぶレジスタンスライン=トライアングルの上辺との位置関係を注視し続けることが重要と思われます。

年内に114.55円を上回ることができなければ、2018年の年間を通じた米ドル/円の値動き幅は過去20年のなかで最小ということになるわけですが、果たして……。