米ドル/円の月足ロウソクは、10月も終値で一目均衡表の月足「雲」上限を上回る水準に位置することとなりました。9月に引き続いて2ヶ月連続ということになり、依然として小動きに終始しながらも基本強気のトレンドに変わりはないものと思われます。

あらためて下図に見るとおり、今年3月に一時105円割れの水準を垣間見てからそれ以降の米ドル/円は、一貫して下値を切り上げる展開を続けており、6月以降は31ヶ月移動平均線(31ヶ月線)や62ヶ月移動平均線(62ヶ月線)を上回る水準に位置しています。さらに、足下で両線がともに上向きでの推移を続けており、そのことによって一層強気のムードが演出されていることにも要注目です。

【図表1】米ドル/円の月足・終値は2ヶ月連続で「雲」上抜け
出所:(株)アルフィナンツ作成

加えて、7月以降は以前長らく形成していた「三角保ち合い(トライアングル)」を上放れる動きとなっていることや、月足の「遅行線」が26ヶ月前の月足ロウソクが位置する水準を上抜けてきていることも再確認。一方で、先週10月31日に「ドル・インデックス(ドル指数)」が、8月につけた高値水準を上回って年初来の高値を更新したことも見逃せない事実として、しっかり押さえておく必要があると思われます。

目先は、とにもかくにも明日(11月6日)の米中間選挙の結果を見定めることが第一となりますが、その結果がどうあろうとも、何より市場にとって重要なイベントを1つ通過することで、これまであった不透明要素の1つが消えることだけは確かです。それだけでも市場にはリスクオンのムードが漂いやすくなるでしょうし、仮に「民主党が米下院で多数派を奪還」という事態になっても、それはすでに相当程度織り込んでいるものと考えられます。逆に、米下院の多数派を共和党が維持することとなれば、むしろ「それは市場にとってポジティブなサプライズ」と見る向きもあるようです。

とまれ、先週11月2日の東京時間帯に「11月末の米中首脳会談に向けて合意文書の作成を米大統領が指示した」というニュースが伝わったことは、大いに注目されるところです。後にホワイトハウスは一旦火消しに回りましたが、トランプ米大統領は「中国とは合意に達すると考えている」とあえて発言。

米政権内部で見解や発言が迷走しているようでもありますが、少なくとも11月1日に米中首脳が電話協議を行ったことだけは事実として伝わっています。ということは、今回のトランプ発言に対して中国がどう反応するか、それによって明らかとなる部分があるかも知れません。

筆者は、個人的に以前から「中国の強がりもいい加減に限界」と考えています。米政権側が安易に中国と妥協することは難しいにしても、中国側がかなり米国側に譲歩することは大いにあり得ると見ています。

そもそも、どんなチキンレースにも必ず終わりはあるのです。米中外交筋が11月4日に明らかにしたところによれば、11月末に開催が見込まれる米中首脳会談では「米中の健全な相互発展」に関する共同宣言が発表されると伝わっています。もはや水面下では相当程度の協議が進んでいると見られます。

気になる英国のEU離脱交渉に関わる問題についても一定の前進が見られたと伝えられており、それは市場にとっても明るいニュースです。また「(年明け以降に)ECBが新たなTLTRO(貸出条件付き長期資金供給オペ)を検討する」との一部報道もあり、全体に米ドル/円にとっては強気の材料が足下で増えつつあるように思われます。