調整が続く中国株ですが、10月19日(金)に底をつける形で急反発となり、10月22日(月)も大幅続伸となりました。その後は調整も入りましたが、この両日を境に全体的に下げ渋っている印象があります。

10月19日(金)の午前中には中国の第3四半期のGDP成長率が発表されました。結果は+6.5%と、予想の+6.6%や第2四半期の+6.7%を下回り、2009年第1四半期以来の低い水準となりました。この数字を見て、米中貿易戦争の影響が出ているとして、中国経済減速を懸念する声もありますが、心配ないと思います。

日本の高度経済成長が経済大国となるとともに終わったように、中国も着実にGDPを拡大し、経済大国となる中で、成長力を落としているだけです。中国はすでに日本の2倍以上の経済規模となり、金融危機後の巨額景気対策効果で+10.8%の成長となった2011年第2四半期を最後に二桁成長時代は終わっているのです。

その後も、2012年の+8%前後の成長からここまで、着実に成長スピードを緩やかに落とし続けてきました。また、そもそも中国政府の2018年の目標は+6.5%成長であり、現在の成長スピードは既定路線です。今後さらに規模が大きくなるに従い、他の先進国並みの成長率に落ち着いていくでしょう。

また、中国株は、着実に推移するGDP成長率とはあまり相関がなく、中国当局の発表する金融政策と財政政策をキッカケとして、むしろ心理的な側面から乱高下してきました。今回の下落も貿易戦争に先行して湧く「懸念」という投資家心理の冷え込みが大きいもので、巨大な中国経済はこれまでの軌道上(緩やかな成長率低下)を巡航速度で進み続けると思います。

さて、前述の株価が急反発した10月19日(金)には副首相、中国人民銀行、中国証券監督管理委員会がそろって財政投資の拡大(法人・個人共に減税規模拡大やインフラ投資拡大)と金融政策の一層の緩和方針を表明しました。さらに習近平主席も民間セクターへの「揺るぎない」支援を表明しています。

このように、経済優先の政策が相次いでいることから、米中貿易戦争の影響があるとしても、中国経済は底堅いと思います。その一方で、徹底的に売られてきた中国株のPERや配当利回りは、かなりの割安感を感じられる水準まで来ています。

大型株でも利回りの高いものは9%台の予想利回りが期待される水準ですし、業績が堅調な優良株の中にはPERを年間予想利益成長率で割って算出するPEGレシオが割安な水準と1.0倍の半分である0.5倍前後にまで達しているものもあります。短期的にはともかく、長期的な株価上昇に視点を置けば、今の調整期は2015年~2016年の中国株急落時のような買い場だと思います。