NYダウ: 25916.54 ▼79.33 (9/7)
NASDAQ: 7902.54 ▼20.19 (9/7)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
先週末の米国市場は米中貿易摩擦激化への警戒感から下落しました。44ドル安でスタートしたダウ平均は徐々に下げ幅を縮めると昼前に小幅にプラスとなりましたが、トランプ米大統領が中国製品に対する関税で新たに2670億ドル分を追加する準備もあると述べたと伝わったことで昼過ぎに急速に下げ幅を広げ一時は177ドル安まで売られました。その後しばらく安値圏で推移したダウ平均は取引終盤に下げ幅を縮めたものの結局79ドル安の25,916ドルで取引を終え3日ぶりに反落となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指も20ポイント安の7,902ポイントと4日続落となっています。
2.経済指標等
8月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比20万1000人増となり市場予想を上回りました。また、平均時給も前年同月比2.9%増と2009年6月以来の高い伸びとなり市場予想を上回っています。失業率は前月と変わらずの3.9%でした。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうちヘルスケアを除く10業種が下げました。そのなかでも不動産と公益事業が1%を超える下落となっています。
4.個別銘柄動向
インテル(INTC)が米政権に対して米企業の競争力の低下につながるなどとして中国に対する追加関税の発動を控えるよう訴えたことで収益悪化が警戒され2%近く下げました。アップル(AAPL)も2000億ドル規模の対中関税が発動されれば一部製品に悪い影響が出るとの見通しを示したと伝わったことで1%近く下げています。米中貿易摩擦激化への懸念からユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)やボーイング(BA)、キャタピラー(CAT)なども軟調でした。一方で中国への投資で初期の合意に達したと伝わったエクソンモービル(XOM)が2%近く上げ、ダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなりました。8月の売上高が好調な伸びを示し、目標株価の引き上げが相次いだコストコ・ホールセール(COST)も2%高となっています。第4四半期の売上高の見通しが市場予想を上回った半導体大手のブロードコム(AVGO)も7%以上上げています。
5.為替・金利等
先週末の長期金利は米雇用統計で平均時給が市場予想を上回り高い伸びとなったことで0.07%高い2.94%となりました。こうしたなかドル円は円安に振れ111円近辺で推移しています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
先週末の米国市場が下落する一方で、ドル円が円安となっていることから本日の日本市場は小動きでのスタートが予想されます。こうしたなか本日は寄り付き前の8時50分に4-6月期のGDP改定値の発表が予定されています。速報値からの上方修正が見込まれており注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)