※表の見方について広木が動画(約12分)で解説しています。
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PORTFOLIO OVERVIEW(11 July 2017)
今週、米ドルのネット・ウェイトがショートに変化した(17.0%のロングから12.1%のショート)。他の通貨のポジション・チェンジがなかったにもかかわらず、ポートフォリオ全体としてドルがネット・ショートに転じたのは、ドルのオーバーウェイトを個々の通貨に対して見直したからである。他国との相対的な米国の成長ファクターがボトムをつけにいっており、いくつかの通貨に対してドルのロングを削った。
ポートフォリオのコア・ロング通貨は、毎回おなじみの欧州通貨、すなわちユーロと北欧通貨だが、ユーロのロングはサイズを減らした。また、ドル円の最近の強さにもかかわらず、日本の成長ファクターの強さを理由に円のロングを維持(むしろサイズ・アップ)している。
先週、途転ロングに変えたカナダドルだが、まだロングを維持しているものの成長要因の低下によってポジションは早くも減少した。カナダドルを選好する要因はカナダの金利だが、それでもまだ「キャリー・ファクター」からポジションを構築するには至らないレベルである。
一方、ショート・サイドは、英ポンド、スイスフラン、豪ドル、ニュージーランド・ドルとこちらも変わらずである。ただ、英ポンドは先週ほぼニュートラルに近い少額のショート・ウェイトだったが今週はショート幅が拡大した。いくつかのサーベイ・データの悪化が背景である。ニュージーランドは経済データが改善を見せたが、ポジション変更のサインが灯るには至っていない。
「米国金利の相対的な高さから米ドル高が加速する」という古い仮定は、もう終わったように思われる。米国の成長は長いことトレンドを上回ってきたが、もはや成長はグローバルに拡大してきている(米国の独り勝ちの状況にない)。FEDはバランスシート正常化に確固たるスタンスを示しているが、それが多国の中央銀行にも政策を調整する可能性を(少なくとも)考えさせることにつながっている。6月のFOMCでの利上げ以来、市場の政策金利の見通しを反映する指標である2年ものスワップ金利は米国よりも米国以外での上昇のほうが大きい。われわれはこれらの中央銀行がすぐにアクションをとることができるか懐疑的である。しかし、当面のところ、かれらは議論を始めるにじゅうぶんなほど経済とインフレについての見通しに自信を深めているように思われる。
DeepMacro
DeepMacro社は、ビッグデータ技術を利用して、自動的かつリアルタイムにグローバルなマクロ経済を観察・分析し、これを基にマーケットの分析を行う米国のリサーチ会社です。詳しくは、こちらをご覧ください。
DeepMacro FX-1 Strategy 通貨モデルの説明
概要
DeepMacro FX-1 Strategy 通貨モデルは、DeepMacro 社のグローバル・マクロ・システムに基づき、G10通貨についてシステマティックなポートフォリオ戦略を提供するものです。通貨の変動を説明する様々な要因を捉え、DeepMacro 社のリサーチ・システムの膨大なデータを、流動性が高く割安なポートフォリオに変換します。
キーファクター:
成長要因:
強い景気サイクルにある通貨を買い、弱い景気サイクルにある通貨を売ります。この判断は別のモデル体系であるDeepMacro 社の「Growth Factor」に基づきます。「Growth Factor」は主要国のビッグデータを含む経済成長に関するリアルタイム・インディケーターです。
キャリー:
高いキャリーの通貨を買い、低いキャリーの通貨を売ります。しかし、高キャリーは高リスクでもあります。したがって、リスクに見合うだけのキャリーが得られる場合のみ、このファクターによる投資判断を行います。
バリュエーション:
割安な通貨を買い、割高な通貨を売ります。経済理論では、高い生産性の伸び、高い輸出価格、大きな経常黒字の通貨は高くなることが示されています。このモデルのバリュエーション・ファクターはこれらの要因にもとづき割高・割安の判断をおこないます。
グローバル・リスク:
投資家のリスク回避姿勢が強まった時には、いわゆる「セイフ・ヘイブン(安全な寄港地)」通貨を買います。DeepMacro社では金融市場の価格に基づいて市場のリスク選好度を見積もっており、「グローバル・リスク・インディケーター(GRI)」を算出しています。GRIが点灯した場合、モデルは日本円、スイスフラン、米ドルなどへの買いを指示します。
ポジション調整:
モデルは対米ドルで9通貨のポジションを表示します。モデルは各通貨への集中度制限などリスク管理のルールを適用し、最適化を行った結果としてポートフォリオを構築します。
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チーフ・ストラテジスト広木 隆の<今週の相場展望>とコラム「新潮流」とチーフ・アナリスト大槻 奈那が金融市場でのさまざまな出来事を女性目線で発信する「アナリスト夜話」などを毎週原則月曜日に配信します。メールマガジンのご登録はこちらから