先日、ASEANの国際会議に出席して実感したことがある。日本は閉鎖的という現実である。ある国の企業経営者と話した際に、日本は「コストが高い」「閉鎖的」とまくしたてられ、返す言葉が見つからなかった。彼は以前日本進出を検討したが、こうした事情から断念したとのこと。他にも、多くのASEAN企業が日本進出を望んでいるものの、それがなかなか実現しない様子も伺えた。確かに、これまで多数の日本企業がASEANに進出しビジネスを展開しているが、その逆は限定的である。

日本の何が問題なのか。経済産業省の調査によると、外資系企業が日本で事業展開する上での阻害要因は、1位が「ビジネスコストの高さ」、2位が「日本市場の閉鎖性、特殊性」となっている(図表 1)。まさに、上述した経営者の指摘通りである。ASEANだけでなく、他の国から見ても、日本はこのように映っているのである。

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実際、日本は他国と比べて、直接投資の受け入れがあまりに少ない。対内直接投資残高のGDPに対する比率は、わずか3.5%である。これが英国では54%、フランスでは42%にも達する。近隣の中国、韓国も10%を越えている(図表 2)。

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対内直接投資の受け入れは、成長戦略として重要な意味を持つ。外資系企業が増えれば雇用が増加し、経済活動が拡大する。また、生産性の高い外資系企業の参入により経済全体の生産性が高まる効果も期待される。とりわけ今の日本にとって、デフレ脱却を対内直接投資に後押ししてもらう意義は大きい。日本が抱える1000兆円を超える途方もない公的債務を削減するためにも、経済成長により安定的に税収を確保していく必要がある。日本にとって、直接投資受け入れへの対応は、国の将来に少なからぬ影響を及ぼす一大事なのである。

ではどうすればよいか。言うまでもなく、日本を魅力的な国にすることである。規制改革、法人税引き下げなど、やるべきことは山積している。これらは実現に困難を伴うものばかりであるが、安倍政権で前進への期待が高まっている。6月に発表された成長戦略では、2020年までに直接投資を倍増する目標が掲げられ、国家戦略特区を通じた規制改革などの施策がこれから具体化する見込みである。

安倍首相は7月、シンガポールで経済政策に関する演説を行い、規制改革を進め、日本を世界一ビジネス・フレンドリーな国にする考えを示した。そして「皆さんの投資を日本は歓迎します」と語り、「Invest in Japan、ダブル・アイ・ジェイ(IIJ)と復唱してください」と参加者に呼びかけた。

首相自らが海外で投資の呼び込みを行ったことは意義深い。2020年のオリンピック開催地が東京に決まり、日本経済に好循環の兆しが見えてきた。この勢いの中で、「ダブル・アイ・ジェイ」が実を結び、日本が一段上の成長フェーズに入ることを期待したい。

コラム執筆:金子 哲哉/丸紅株式会社 丸紅経済研究所

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