高値更新基調が続く欧米株式、ドル/円相場も52週線をサポートに緩やかに円安方向に動き始めていますので、日本株に対する持たざるリスクが少し意識されだしているようです。材料難のときでも、それが特段の売り材料にはなっていないといった状況でしょうか。
一方、今月の業種別の動きをみると、21日現在で下げているのは3業種だけ。それは、指数への影響が大きい自動車を含む「輸送用機器」、中国の景気にかかわる素材業種の「鉄鋼」・「非鉄」です。そういった意味では、米国と中国の6月の景気指標が出てくる7月初旬ぐらいまでは、外需株の動きは鈍そうですね。
その自動車ですが、トヨタ自動車(7203)の株価がさえません。25日線の下方で下落トレンドが続いています。ただ、少しだけ底打ちサインの兆候がみられます。RSI(9日)が21日の取引で50%を上回ったことです。それも、株価が年初来安値(5,670円)をつけた4/14よりも高い水準です。

ここで、RSIを簡単にご説明しますと、ある特定の期間の上昇幅の累計を、ある特定の期間の上昇幅の累計と下落幅の累計を合計したもので割って求められます。つまり、今回の50%超えが意味するところは、過去9日間で上昇幅の方が大きくなってきたということです。
一般的には30%以下で売られすぎ、70%以上で買われすぎと判断する指標なのですが、50%水準を超えるか超えないかが、同じように重要なのです。株価(ローソク足)だけみていても、反発力が強まるタイミングはわかりません。しかし、必ずではないにしても、50%を上回ると株価の上昇力が強くなることが多く、短期的な動きに便乗する際に有効だと思います。なので、トヨタ自動車のここで拾える玉(株式)は5月高値(6,242円)を上回れば、宝物になるかも。ちなみに最近、50%を下から上回ったのは、4/25と5/31です。2回ともその後は少し上値がありましたが、まもなく下落しました。今回は3度目の正直といえ、本格反発につながるでしょうか?

前回と重複いたしますが、日経平均は今年に入り、主な安値から高値、高値から安値、そして高値から高値までに「32日間」の周期があることがわかります。しばらく同じ期間で上昇や下落が続くとみた場合、直近の5/18安値から32日後となる「6/30」、6/2高値から32日後となる「7/18」前後の動きに注目できることになります。基本的には上昇・下落の判別は不明ですが、今週に入ってからの年初来高値更新で上昇トレンドの継続が確認できたかたちとなっています。つまり、6/30前後で上昇一服の可能性が高いといえますが、東証1部の売買代金が3兆円程度まで膨らんでくれば、7/18前後まで上昇基調が続くこともシナリオとしては考えられます。一方、短期的な高値をつけたあと、7/18まで下落しているケースなどもあるでしょう。

東野幸利

株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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