東京株式市場、日経平均だけみていると、上にも下にもはっきりとトレンドが発生しませんね。3連休明けの13日に10116円(ザラ場高値)までリバウンドしましたが、この先の動きが重要になってきます。
 今回のこのリバウンドの現象を「リターンムーブ」といいまして、以前は株価の下値支持線だったものが、株価がそれを下に突き抜けることによって、今度は逆に上値抵抗線になってしまう。そこに向けた揺り返しの動きが「リターンムーブ」といいます。所謂、株のクセですね。

 8月21日安値10142円から右横に水平に引けるラインが上値抵抗線になりうる、ということです。13日のザラ場高値10116円がほぼその水準に接近しましたので、これまでのところは教科書通りの展開といいましょうか。「リターンムーブ」達成後は結構気合の入ったトレンドが形成されるパターンも多くあります。ですから、この先も教科書通りならば、今回は下へのトレンドということになります。
 当然、13日のザラ場高値が目先の高値ではなくて、今やそうなった上値抵抗線を簡単に突破してくる可能性だってあるのです。そうなれば展開は違ってきます。そういった意味で、この先の動きが重要だということです。
 私は下へのトレンドが出るとは現在のところは思っていません。テクニカルアナリストとしては、教科書通りに解釈しなければいけないのかもしれませんが、実戦ではそんなに単純なものではないですよね。自然の道理というやつでしょうか・・・。

 むしろ、来年の1月あたりに向けてもう一段の上昇があるのでは、と思っているぐらいです。週初、弊社の勉強会にお招きしました先生も同じ意見で安心していたところです。お話しの内容は、ほぼ日柄と値幅の予測のみでしたが、私にとっては非常に参考になりました。先生曰く、「日柄の勉強をしていないと、今日の話しは難しい」とのことでしたが、私もそう思いました。終わったあとの参加者の顔を見ると、全然物足りない様子。日柄分析にこれまで足を踏み込まなかった方には、さっぱりというほど理解できなかったと思われます。
 私は来年1月あたりまでに11500円中心に11300から11700円処まであると予測しています。目先の展開は、10300円から10400円処までは上昇。その後は11月前半(10日前後?)までもみ合い。当面は4月後半安値と7月安値を通る右肩上がりの下値支持線と8月31日高値を基点とした右肩下がりの上値抵抗線のなかで1万円中心の動きを想定しています。
 200日移動平均線とのかい離率が依然として10%程度あり、かい離率が縮小するまでの間は上値は限定される、という考え方が根底にあります。200日移動平均線が上昇してくるまでの間、売りでもない、買いでもない、待ちぼうけということですね。この考え方は重要で、株価が下がってかい離が縮小するよりも、移動平均線が上昇してかい離が縮小する方が、その後の上昇力は強くなると思います。
 3月安値から急速に上がりましたから、もう少しもみ合い期間が必要だと思います。株価とのかい離が縮小してから、どちらかに放れていくパターンなどが考えられます。
 一方、リスクは「リターンムーブ」後の下への動きです。200日移動平均線は上昇していますが、足元はそんなに強い上昇ではないので、200日移動平均線まで株価が引き寄せられる(下がる)可能性はあります。でも、そのケースのかい離縮小は、もっと相場の調整を長引かせる要因になりえるわけです。
 最後にもみ合い相場が崩れるときの群集心理はというと・・・・相場が2ヶ月から3ヶ月も上にも下にも行かずで無気力になったときは、買い方もその状況に負けてしまって、先行き見通しに自信がなくなり、弱気に転じてしまう。売り方も思惑通りとばかりに売り玉を増やす。しかし、相場は全員の意見が一致したときは総じて逆の動きになりやすい。高くなり始めると元々の買い方は、「やはり最初に思った通りだ」とばかりに買い直す。おそらく、見切り売った価格よりも高い買い値でしょう。
 一方、売り方は当然あわてて買い戻す。大抵は売り玉を増やして間もないころに買い戻しを迫られる格好になるものです。いずれ両者の意見が一致すると相場は急伸する、といったメカニズムです。
日経平均が2004年4月に高値をつけたあと、1年3ヶ月程度もみ合って、そのあと急伸したチャートを見てみてください。同じようになるとは思いませんが、波形がイメージできると思います。

東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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