日経平均やTOPIXは引き続き堅調な動きです。なかでも、資源関連株の強さが目立っていますね。資源関連株といってもはっきりとした定義はなく、鉱業、鉄鋼、非鉄、商社、石油、海運などといったところでしょうか。広義や狭義といった区分もなかなか難しいところですね。足元の指数の牽引役となっているのが資源関連株です。ただ、日経平均などの指数に高値警戒感が出てきたもんですから、内需株の出遅れを探してみたり、中小型株を探してみたり、どうしてもそんな動きになっていくのでしょう。
昨日もあるところでコメントしましたが、やはり銀行株が出遅れています。銀行株といいますか、東証33業種(33セクター)のなかの銀行株セクターが相対的に他のセクターに比べて出遅れています。TOPIXが高値を付けた2007年以降の急落後の安値の時期は各セクター異なりますが、TOPIXが直近安値をつけた3月12日を基点に各セクターの指数化したグラフを引くと、明らかに銀行セクターが出遅れているのがわかります。
出遅れているといいますか、銘柄にそれぞれリズムがあるのと同じく、セクター同士にもリズムの違いはあります。ただ、セクターとなるとその業種全体の動きの集約になりますので、銘柄同士よりもセクター同士のほうがそのリズムの違いは小さくなります。
銀行セクターが出遅れている理由は、4月の動きにヒントがあると思います。ざっくり簡単に言いますと、現在高値を取っている資源関連のセクターは3月12日を基点に安値が切り上がる動きが継続していたため、現在の高値位置がキープできるわけです。
一方、銀行セクターは4月に直前安値を一度下回る動きとなりました。この直前安値を下回るとか、直前高値を上回るとか、といった動きは非常に重要です。需給面で・・・。
つまり、銀行セクターはその動きが引きずって、足元の株価出遅れといった動きに影響を与えているわけです。
要するに、直前安値を下回らなかったということは、直前安値を前に売りよりも買いの方が強くなったということですよね。直前安値で買い指値を持っていた人は、直前安値を付ける前に上昇に転じたわけですから、当然、買えないわけです。買えていない状況で次の押し目で買いを入れるものの、また買えない。そうするうちにどんどん指値が上昇していって、最後の上昇が際立つ局面では、ほぼ成り行きに近い買い方になってしまう。これが好需給の相場展開です。
例えば、直前安値よりも1円ないし、10円上で10000株買い指値を出していたとして、下がって値段が付いたのはいいけれど、結局買えたのは1000株だけとか・・・、その1000株は儲かるケースが多いのですが、ただ、もう少し買うために上を追っていくでしょう。1000株すら買えていなかったらなお更ですね。逆に全部買えていたら弱いということです。
銀行セクターは4月に一度直前安値を下回りましたので、直前安値で買い指値を出していたものがすべて買える結果となってしまったようなものです。当然、直前安値で既に買っていた人は買い値を下回るわけですから、恐怖心が強くなり戻ったら売りたくなります。その余計な障害物がその後の株価上昇を限定的にしてしまい、やがて気付いたときには出遅れ走者(出遅れ銘柄や出遅れセクターのこと)になってしまっているわけです。
でも、先ほど指摘しましたように株価にはリズムがあります。先駆してゴールにたどり着いた走者はベンチに入っていきますが、出遅れ走者はまだ走っているわけです。かなり目立ちますよ。
この先、指数が上昇するとしたら銀行株が上昇する可能性が高いと思います。銀行株はまだ不透明、公募や資本増資の問題、不良債権などが先に頭に浮かんでくる状況だと難しい思うのですが、強張る日経平均がさらに上がるための条件をまず考えてください。
あと、この先、みんながどうするかを推測するのです。指数が高値圏で推移しているので売りたいけど、強いから売れない、先高期待もあるし。ただ、資源関連株は少し高値警戒感もあることだし売りたい。その代わりに株価が比較的安い位置にあるセクターや銘柄は、・・・となるわけです。そして、出遅れ走者はやがて観衆から注目(資金シフトが目立つようになる)され、拍手喝采といったことになるのですが、最後の方でしか注目されませんので、ゴールまでは短いですけどね。
東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ
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