26日の日経平均は高値引けとなりました。ローソク足では下ヒゲのついた短い陽線を形成。“高値で引けたから明日も強いぞ”と思いきや、実はこの足は凄くクセモノなんです。
酒田戦法に“首吊り線”という足があります。26日に形成したローソク足のヒゲの部分がもう一段下に長い足のことをそう言います。その“首吊り線”の定義は上放れて寄り付いて、売り方の買い戻しが入るものの、次の瞬間に買い方の利食い売りが出て下押し、強力な押し目買いに高値引けするというものです。一見強そうに見えるのですが、実は目先の売りシグナルとされているのです。ただ、出現する場所によっては解釈が違います。要するに下げきった後に、出現したものを “首吊り線”とは言いません。このときは“勢力線”と名前が変わって、逆に買いシグナルになるのです。下ヒゲが実線部分の3倍以上あるものを原則とするらしいのですが、26日の下ヒゲの短い陽線も考え方は同じ。陽線3本目ということもあって、売り方の買い戻しが入ったのでしょう。高値引けならば、次の日は上寄りしてもおかしくなかったのですが、あっさりと下寄りとなってしまいました。その後は軟調な動き。
直近の日経平均で探してみましたら、見つかりました。2006年4月7日に形成しています。その時もぴったり、高値引けで目先の天井となってしまいました。よく考えるとそうですよね、上伸した後に高値引けするということは、強力な買い方が出てきたということですから、それ以上に強力な買い手でも出現しない限り、一旦終了。となってしまいますよね。奥が深い技です。
もう1つ、足元の動きで個別株にも散見されますが、“放れ三手の新値は利食い”という言葉があります。どのような形状かといいますと、マドを明けて上昇した後、その日を含めて三日間目先の新値が続くことです。今日で三手目になっている銘柄が結構あります。これも典型的な売りシグナルです。それで変化がなくとも、次線で寄せ線(寄り引け同時線)がはらむ形になると、売りが決定的になるそうです。
昨晩までの米国のナスダックがそのようになっています。皆様がこれを読まれるころは、まだ米国市場は始まっていないと思いますが、仮に、何も材料がなく下落していたら、テクニカルの勝利です。その次の日さらに下げた段階で、何か悪材料が出てくるでしょう。ではなくて、どこからか悪材料を探してきて強引に理由付けしてくるでしょう(笑)。世界の株価指数を日本発の“酒田戦法”で解読できる快感はたまりません。もしそうなったら、“酒田戦法”を遺していただいた、本間宗久翁に大いに感謝しなければなりません。
本年は“相場一点喜怒哀楽”をご愛読いただき、誠にありがとうございました。また、来年1月以降も引き続きよろしくお願いいたします。
(株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ 東野幸利)
※なお、12月1日より社名が 株式会社 トレーダーズ・アンド・カンパニーから変更となりました。