先週末、米国のダウ平均が9日ぶりに反発したことで東京市場も安心感が出るだろう。9日続落すれば1978年2月以来、40年ぶりの記録となるところだった。OPECは7月以降に原油の協調減産を一部緩めることで合意したが、逆に原油価格は急騰。増産幅は想定の範囲内との見方が多く、需給悪化の懸念が後退した。WTI先物は一時68.82ドルと5月下旬以来1カ月ぶりの高値を付けた。これを受けて石油関連株が上昇しダウの反発を支えた。週明けの東京市場でも資源関連株が物色されそうだ。
今週は配当再投資の影響で底堅い推移を見込む。特に6月30日は上昇確率が約7割と上昇の特異日である。今年は29日が6月の最終営業日だが効果は同じだろう。機関投資家が受け取った配当を機械的に月末月初に再投資するからだと思われる。7月初日の上昇確率もまた高い。
無論、米国発の貿易摩擦問題に振り回される展開は続く。500億ドル相当の品目への25%関税引き上げのうち340億ドル分は7月6日に発動されることになっているが、トランプ政権は、この分についてそのまま発動するだろう。中国も報復で動く。そこまでは市場は織り込み済みだと思う。問題はその後、どうするか、である。矛を収めるとは思うが、その道筋が見えない。
なかでも自動車の関税引き上げは日本株にとって影響が大きい。自動車は関連する産業のすそ野が広い。先週はダイムラーがこれを理由に今年の利益見通しを下方修正したことも日本株市場で自動車株が売られた理由のひとつとなった。実際に発動するかどうかは不透明だが、ロス米商務長官は事前調査を8月までに完了させる意向だと報じられている。夏場までもやもやが続く。
今週は月末週で、国内の主要な統計が多く出てくる。なかでも鉱工業生産に注目したい。景気動向指数との連動が高いからだ。4月の鉱工業生産指数は、前月比で3カ月連続上昇となったが、市場予想は下回った。伸びが鈍かったことで相場の重石となる場面があった。
米国ではPCEデフレータに注目が集まる。インフレの押し上げ要因だった医療サービスと金融サービス価格の上昇が今後減速するとの観測があり、PCEデフレータの伸びが鈍化する可能性がある。
今週は貿易摩擦懸念が重石となる一方、配当再投資の影響で下値も底堅い。上にも下にも行けないで、2万2000円台中盤でのもみ合いとなりそうだ。
今週の予想レンジは2万2300円~2万2900円とする。