今週は日米欧の金融政策会合が集中して開かれる。12-13日にFOMC(米連邦公開市場委員会)、14日はECB(欧州中央銀行)理事会、14-15日は日銀の金融政策決定会合が行われる。今回のFOMCでの利上げは市場のコンセンサスで焦点は今後の利上げの道筋。ドットチャートやパウエル議長の会見などから市場がFRBのスタンスをどのように受け止めるか。南欧の混乱はあったがこの程度ではFRBは配慮しないだろう。むしろ米国の経済指標が良好なことから、今後も利上げ継続の正当性を打ち出し、市場はややタカ派的ととらえる可能性が高いと思う。そのシナリオをメインに基本ドル高で日本株には追い風になると予想する。
14日のECB理事会では量的緩和の終了時期を発表するとの観測もある。ECBのプラート専務理事は、ECBはインフレが目標に向けて上昇していくことへの自信を深めており、次回理事会で債券買い入れ策を年内に終了させるかどうか討議すると発言している。南欧不安が一旦後退しユーロは反発しているが、仮に緩和終了が明示された場合、ユーロが一段高となるか材料出尽くしで再度売られるか判断がつかない。チャート的にもユーロドルは25日線で頭を抑えられた格好。ここを抜けて上昇に弾みがつくか頭打ちとなるか相場のリアクションを見たい。その意味でECB理事会は週後半の最大の材料と考える。
週前半の最大の注目はシンガポールで12日に行われる米朝首脳会談。トランプ米大統領は休戦状態にある朝鮮戦争の終結に関して米朝首脳会談でなんらかの合意に至る可能性に言及した。米朝会談が成功裏に終わった場合、金正恩委員長に米国訪問を招請する考えも表明。そこまでに至ればさすがに市場も好感するだろう。事前の調整は進んでいると見られ、交渉決裂のような最悪な展開はないだろう。それが予想されるならG7を中座してまでトランプ大統領は会談に臨まないはずだ。会談は米国時間の夜9時(東部)。テレビのゴールデンタイムだ。秋の中間選挙を前に歴史的会談成功というアピールをしたいはずである。ちゃぶ台をひっくり返すことはない。金正恩委員長にしても、すべて中国・ロシアとすり合わせたうえでの会談だから、ここで流れを変えるようなまねはできないだろう。結論として穏当な会談になって相場にとっては可もなく不可もなくか、もしくは多少ポジティブな材料となるかのどちらか。ダウンサイドのリスクは少ないが、会談は日本株相場の取引時間中に行われるだけに念のため細心の注意を払って会談を見守りたい。
主力株に比べると東証マザーズなど新興市場の戻りが鈍いが、メルカリのブックビルディング期間も終わり、換金売りも一巡するだろう。11日の値決めが終われば、新興市場も盛り返してくると思われる。
今週の予想レンジは2万2500~2万3000円。三週間ぶりに2万3000円の大台回復の場面も状況次第ではじゅうぶんあり得ると考える。